このブログは

雑誌編集者を目指して、上京。
トラの穴で編集プロダクション生活をスタートさせたばかりの「のんちゃん」(23歳女子)に贈る
編プロ・トラの穴的 おこごと、仕事のコツ、ラクの仕方と、社会人的たしなみと。

順不同でまいります。
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印象をよくするエクササイズ

2015年1月20日 (火)

いろんな視点をもつことは大事だと書きました。

そのなかのひとつともいえるけれど

後ろへの視点をなんとなく気にしています。

 

後ろ向きということではありません。

前を向いて歩いているときに、自分の後ろがどうなっているのかということです。

この世界に向けて、自分がどのような存在であるのか、ということに近いかもしれません。

自分はその場にどんな気配の残すのか。

 

たとえば、自分が歩いているときに、すれ違う人に対してはさまざま配慮すると思います。

できるなら仏頂面は避けたいし、すれ違った人が気分がよければいいなと

なんとなくそんなことを思います。

森田健さんの「六爻占術」のなかに“外応(がいおう)”という考え方が出てきます。

ざっくり言うと

「宇宙はとても親密で、いつもその人のほしい情報を投げかけている」というものです。

「あの企画は受けるだろうか」なんて考えているときに

とても楽しそうにすれ違う学生さんが目に入ったら、「その企画はOK、うまくいく」

みたいなふうにキャッチします。

詳しくは、森田健さんの『「母神」に包まれる方法』『幸運の女神を味方にする方法』(マガジンハウス)をどうぞ。

それでいくと、私のありようもどなたかの外応になるわけですから、

だとするとよいものでありたいと願いたいじゃないですか。

私は宇宙から受け取るけれど、私も宇宙にお返しするわけです。

できれば、お返しはよいものをお返ししておきたい。

 

なんだかスケールが大きな話でしょうか。

というわけでもなくて、「気配」ということでもいいと思います。

どこかに伺ったあとで、おいとまする。

そのあとで、その場所にどんな気配を残すのか、ということです。

気持ちのいいものなのか、なんだかどんよりしたものなのか、塩でも撒きたくなるものなのか。

 

ごく身近なところで、自分のあとにトイレを使った人が気持ちがいいのか悪いのか

 (きちんと流しているとか〈当たり前か〉、

便蓋を閉めているとか、ニオイがこもってないとか、きれい・汚いとか)

水場を使った後で、後の人はストレスなく使うことができるのかどうか

 (家庭科の授業のあと、使う前よりきれいにしろと教育されました)

ランチのあとテーブルを立つときに、片付ける人の気持ちになれるのかどうか

 (食い散らかしていないか、イスは来たときのようにちゃんと揃えているかとか)

作業したときに、きれいに片付けているのかどうかとか。

できれば一度確認してから去りたいと思います。

「立つ鳥跡を濁さず」という言葉がありますが、似ているかもしれません。

行動のみならず、言葉や表情にも同じことがいえます。



歩道を歩くときだって、後ろから来る人は追い越しやすいか、歩きやすいか

ゆっくり真ん中を歩いていないか、荷物は邪魔をしていないか、

雨の日なら傘はスマートにさせているのか。

 

よい気配を残せる人で、「仕事がうまくいかない」なんていう人を私は知りません。

気配の積み重ねが、人の印象となるのだと思います。

東日本大震災が出版業界にもたらした打撃

2011年3月28日 (月)

2011年3月11日(金)の東日本大震災から2週間。
死者・行方不明者2万人を超える壮絶な自然災害のほかに
原発災害も徐々に深刻さを増していくなか、
わたしが触れられる範囲で、この直後の出版業界の模様を残しておこうと思います。
震災直前に直面していたシビアな状況
(前夜の模様→ 
http://zerohachimaru.cocolog-nifty.com/nonchan/2011/03/post-cbe9.html )
に加えて、今回の震災。
おそらく出版業界は大きな岐路に立つことになるでしょう。
ここからどうなっていくのかはまだ予測不能です。
ドラスティックな進化を求められているような気がします。
今時代のただ中にいて、感じられる動きを残しておきます。


【東日本大震災直後の動き】
◆すぐあとに起きたこと

東北に関するガイドブック系の編集はもちろんすぐにストップ。
出版・企画、販売取りやめの報が相次ぎました。
弊社で担当していた旅行会社系の東北のガイドブックはすでに刷り上がっており、配本ずみ。
その後の本の扱いは、各書店におまかせするしかないとのことでした。


ちなみにわたしの担当するビューティ系カタログ誌は、地震の日の午前中に完全校了していました。
ともあれ作業は進むだろうと安堵していたところ、印刷所の担当者から14日(月)に
「印刷所の工場がつくばにあり、紙がひっくり返ってすごいことになっているから納期が遅れるかも」と
のこと。
結局3月16日納期が、2,3日遅れですみました。印刷所、すごいです。



◆紙がない! 
3月14日(月)は『週刊少年ジャンプ』の発売日。地震のために未配送や発送の遅れが生じたことから
公開を4月27日までと限定して、『週刊少年ジャンプ』15号をWEB上で無料配信とすることに。

http://event.yahoo.co.jp/shonenjump/special/
発行部数300万部の同誌の、初のオンライン配信なんて、ものすごいご英断!
……と喜んでいる場合ではなく、このとき出版業界はすでに深刻な状況に直面していました。


国内の20%の製紙業が集結している東北が打撃を受け、紙の供給がままならなくなっていたのです。
書籍、雑誌のたぐいも、「紙が……」はよく聞かれるようになりました。
発売休止と延期を合わせると、被災後1週間の間に200誌近い数に上りました。
秋や冬の定刊誌やムックでも「予定の部数通りに刷れないかも」という不安は、今も続いています。
また、なんとか紙を持って来れたとしても、道路事情の悪さによるルート変更と燃料不足により、
コスト高は必至の状態。
この辺は今後、我々制作側の死活問題にもつながるでしょうか。


⇒3月18日日経新聞(金)
http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819696E3EAE2EA9D8DE3EAE2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2


⇒3
月26日(土)ビジネスメディアウォッチ
http://www.j-cast.com/2011/03/26091371.html


◆インクもなくなった!
東北では被災した小学生たちの教科書として60万冊が必要なのに対して、
「待った」をかけたのが印刷会社が集まって作る印刷インキ興業連合会。
インクの工場が被災して、在庫切れを起こしそうというSOSでした。
紙に加えてインクも!!


3月22日(火)日経新聞
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819696E0E0E2EB978DE0E0E2E1E0E2E3E38698E3E2E2E2


ところで、この教科書問題に際して、
教科書の電子書籍化がいっきに加速することに3000点。
アップル社は今頃特需に備えていると思います。キンドルはどうでしょうね。



◆出稿の見合わせ、広告のストップ
TVでACのCFがまだまだ繰り出されるのと同じで、出版業界の広告出稿に関しても足踏みが顕著です。
被災が少ない地域でも広告自粛の動きがあります。
フリーペーパー系などはとくに大苦戦を強いられている模様。ことに3月は広告営業どころではないムード。
「今の時期に広告打つってどうなの!?」という出稿側(企業やお店)の心理に加わり、
原発の汚染状況が今ひとつ明確でないことも遠因に。
みんなが社会不安から抜け出せないなかで、「HAPPY! 」を訴求できない状況なのです。
とはいえ、出稿側も、環境が整えれば躍り出るように打って出たいわけで……。
まだしばらくシビアな状況が続きそうです。


震災をめぐる出版のネガティブな状況を挙げればキリがありません。
次のかたちに変わる過渡期に出版業界は立たされています。

でも、きっと、ピンチはチャンス。
今まで、誰かの「HAPPY!」な笑顔のために、本や企画を作り続けてきたように
これからもきっと、どんなかたちであれ、「HAPPY!」な笑顔につながるものをつくりたいと思います。

「次跳ぶための力を、今しっかり養っておこう」
そんな気持ちで、担当させていただいている3誌の会報誌系の発行延期を見送りました。
いっときのお休みは、決して後ろ向きではなく、
次へ飛び出すために、スタートを最高の笑顔で彩るために、力をつけるための時間であるような感じがします。


同業みなさんの静かな愛と力が、復興への強い力にかわることを祈ってやみません。

東日本大震災前夜の出版業界状況  

2011年3月28日 (月)

【リーマンショックがもたらした出版不況と業界再編成】

この機会に東日本大震災前夜の出版業界の模様を、ざっとまとめておこうと思います。
死者・行方不明者2万人を超す前代未聞の災害の直前、
出版業界はいまだかつてない過渡期のさなかにありました。


◆リーマンショックの打撃
それまでのじわじわとした市民の紙離れに加え、2008年リーマンショックは出版業界も直撃。
各企業各社の経営状態が締め付けられるなか、広告出稿数が激減します(雑誌やムックは、部数の売り上げのほか、広告売り上げが中心になっているものがほとんど)。
個人の買い控えも目立ち、部数もどんどん冷え込みます。
広告減と部数減に伴って休刊に追い込まれた雑誌が急増。
2010年の年度末まで、なんと約130の雑誌が休刊しました(わたしのレギュラーも3誌休刊(>_<))。
休刊のみならず、出版社の倒産、編集プロダクションの廃業なども相次ぎました。
このあたりから、従来10%が確約されていた書籍の著者印税(出版社からもたらされます)にも徐々に変化が。
印税が10%を割る事態が起き、最近では残念ながら5~7%のことも少なくありません。
版元の出版社の台所も、火の車ということが少なくないのだと思います。


FuJisan.co.jp 休刊誌一覧
http://www.fujisan.co.jp/Partner/PartnerSuspensionInfo.asp


◆印刷メーカーと書店が動いた
2009年には、大手印刷メーカーと書店が業務提携や経営統合を行い、版元も巻き込む動きが現れました。
凸版印刷と紀伊国屋書店は業務提携、大日本印刷は丸善、ジュンク堂との経営統合を果たします。
印刷と書店が手を組む発想が非常にユニークです。
大手印刷メーカーがもつ印刷テクノロジーと、書店の持つソフト力の力を合体させようというわけです。
これらの動きはこれからも目が離せません。


ITメディアニュース 2009年6月2日 
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/02/news010.html
カレントアウェアネス・ポータル2009年9月29日
http://current.ndl.go.jp/node/14741

紙のメディアの少し先をいく状況が、CDなどの音楽メディアです。
ダウンロードシステムにとって代わられ、CDの販売は激減。
ニューヨークの大手CDショップの閉店も話題になりました。

果たして書店の未来に近いのか!? と危ぶまれるなか
日本の大手書店がこうした動きに出ることはうれしいことでした。
まだ楽観することはできませんが、こうした動きがかならず未来への突破口をつくります。
しかし、町の小さな書店を思うと、出口が見えずせつないです。



◆電子書籍の動き
それまでは携帯小説(携帯電話のチャンネルでユーザーが小説をダウンロード購入する)が中心だった電子書籍市場でしたが、
アップル社のiPhoneとiPadの登場とともに地図が塗り変わりはじめます。
本腰を入れた専門の会社が続々登場し、2010年には電子書籍の台頭が始まりました。


電子書籍の市場規模は、紙の市場に比べてまだ十分の一だといわれますが、
その将来性を見込して、キャリアと出版系企業の共同事業経営が展開しています。
「KDDIと凸版印刷、ソニー、朝日新聞社」連合と「DoCoMoと大日本印刷」「アマゾンとキンドル」「ソフトバンクとアップル社」みたいな感じです


日本経済新聞2010年8月3日
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819696E2E0E296E78DE2E1E2EAE0E2E3E29F9FE2E2E2E2


また、衝撃が走ったのは、作家の村上龍氏が立ち上げた電子書籍制作・販売会社。
著者印税40%って……。クリエイターにとってなんと魅力なことか。
そうしたことがかなうのがペーパーレス(そのほかあらゆるところでお金をかけずにすむ)……電子書籍の魅力でもあるのです。


ITメディアニュース 2010年11月2日
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1011/02/news081.html


こうなってくると「紙」の出版はどんどん立つ瀬がなくなるのですが、
好きなものは紙で残したいという人もいます。とくに中高年は、PCより紙のほうが馴染みがあって好まれます。
けれどその「紙」の支持が、
音楽マニアがCDやレコードを大切にするのと同じだったり、ボックスを購入する動きと同じになるのではちょっと困ると思います。
コアなファンではなく、雑誌や書籍は、あくまで多くの人たちの手に取られてなんぼのツールだからです。


インターネットと電子書籍の脅威におびえつつ、それでもなんとか紙の出版のアイデンティティと庶民の支持を確保しようと暗中模索するなかで、
2011年3月11日(金)、今回の東日本大震災が発生。
出版界にも大きな揺さぶりをかけました。