このブログは

雑誌編集者を目指して、上京。
トラの穴で編集プロダクション生活をスタートさせたばかりの「のんちゃん」(23歳女子)に贈る
編プロ・トラの穴的 おこごと、仕事のコツ、ラクの仕方と、社会人的たしなみと。

順不同でまいります。
つまみ読み、どうぞ。

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編集経費ってなに? その3…ピンからキリまで

2019年8月17日 (土)

私が編集者になりたての1990年はバブルの終わりで

編集経費が潤沢にあることこの上ない時期。

当時を知っている人と話をしていると豪快な思い出話がたくさん飛び出してきます。

深タク(深夜タクシー)をいかに普通に使っていたかとか(もちろん全部経費)、

手厚い夕食と夜食(もちろん経費)、

アフリカ取材のときに、現地でアフリカ象を買って経費で落とそうとしたとか(おそらく撮影経費)、

女の子の情報を集めたいからテレクラでリサーチし、その分を編集経費で落とすとか、

とか、とか、とか…。

そういうことに目くじら立てる人は少ない、おおらかな時代でした。

 

私の1990年は

「国際花と緑の博覧会(花の万博、または花博)」の催事広報室に出向し、

広報誌と催事記録集を制作していた頃。

スタッフ参加のパーティのじゃんけんゲームで運良く勝ち残り、

10万円のゲンナマを獲得しました。

広告代理店関連の上司たちがみなさん、羽振りよく、お金をどんどんのせるので

賞金があれよあれよという間に上がっていくんです…。

そのお金で購入させていただいたタンス(下写真)は、今も大事に使っています。

たしか私の出向料は40万円くらいで、出向元の編プロからもらう私の給料が

当時は12万円くらいだったと思います。休みはほぼなし。

安いけど、前職の大学副手と比べると、それでも雲泥の差だと感じていました。

「効率のいい子」だったわけです(汗)。

 

飲食情報ムックの黎明期の制作経費もなかなかです。

500軒ほどの店情報がカセット形式で掲載するスタイルで

A4変形120ページで、創刊時の製作経費は2000万円くらいだったそうです。

今では当たり前になっている、情報をフォーマット化して掲載するスタイルが

当時はとても新しかったのです。

私が担当していたブライダル誌も、創刊時はたしかA4変形120ページ

1600万円のギャランティだったように記憶しています(1993年)。

 

私の担当分で編集経費が超越していたのは、

ファッションクリエイターの連載(女性誌)で、

2ページで90万円(1994年)。

現在も大河ドラマや映画、演劇などの第一線でご活躍のベテランスタイリストさんで

東大の赤門前にハーレー2台を置いて、外国人女性モデルを5人投入、

もちろん著名なフォトグラファーをブッキング。

みなさんのギャランティと、ハーレーのレンタル料、ロケバス、食事の手配、諸経費で、

しめて90万円、どーん。

最初は赤門前じゃなく、「日光東照宮で撮影したい(ハーレーと外国人モデル持ち込み)」がご要望でしたが

日光東照宮からの許可はいただけませんでした、残念(ほっ)。

だって日光東照宮がロケ地な   ら、さらに経費はアップしていたはず…(大汗

編集経費もバブバブしていた華やかな時代でした。


 

あれからもうじき30年。

時を経て、やがて忘れられていくことなので、残しておこうと思いました。

バブルから出版不況まで余すことなく味わえるのは、奇特なことじゃないかしら。

                                 Img_2276 

 

編集経費ってなに? その2…3ページ程度の小企画をつくる

2016年5月19日 (木)

Photo00002245
計算が苦手な私は、編集者デビューしてから使いやすい電卓を購入しました。
打ち間違いが少なくなるように、そこそこの大きさのもの。
画像:Photock

編集の仕事を切り盛りしていくときに避けて通れないのが予算のこと。

いついかなる時も、予算ありきで、その中で作っていく。

もしもあなたが、社内で、3ページの小企画を任されたとして、作り方を考えてみます。
まずはおどんな企画を、いつまでに、どのようにしてアップするのかを、
仕事を振ってくれた人に確認します。


このときに、これらと同じくらいに大切なのが予算です。
それをいくらで作ればいいのか。

編集の仕事のかなめは、実はお金を上手に回して、
楽しいページを作り上げることでもあるのです。

予算がふんだんにあって、カッコイイページが作れるのは当たり前。
少ない予算でどこまでできるかは、編集者の腕の見せ所だと思います。
そして、初めての担当って、だいたいは予算が少ないもの。
安く、楽しいページを作るチャンスです。


たとえば、リースして撮影小物を借りるとお金はかかるけど、
お気に入りのショップに「クレジットを入れる代わりに、
商品を無料でお貸しいただけないでしょうか」と交渉するのもいいでしょう。

※ここで言うクレジットは、商品クレジットのこと。商品名、価格、販売店(連絡先)など


最近ではウェブを探すと、
無料で使えるイラストや写真などのフリー素材もあります(ちなみにこのページの電卓写真もフリー素材です)。

各社、クレジット明記、媒体不可など、規約が異なります。細心の注意を払って確認してください。
 ここでのミスは、媒体、ひいては企業に迷惑をかけることになる、非常にシビアな問題です



もしも腕に覚えがあるなら(
ここ、大事!)、
予定していたクリエーターの代わりに、
自分がやってみて経費を浮かせてもいい(その分、企画内のほかに贅沢する!)、


自分の仲間と思える、まだデビューしたてのスタッフと一緒に、
周りの人があっと驚くものを作りあげるもよし。


逆にベテランクリエーターさんに、こちらの熱意を伝えて口説き、協力してもらうのもいいと思います。

予算が少なくても引き受けてもらうには
この仕事がいかに楽しいかをアピールしなくちゃいけないし、
その人のメリットについても考える必要があります。

でも、たとえメリットがなくても、その人がものすごく人気者で、
時間が全然取れない人でも、
○○さんさえよければ、私は早朝でも深夜でもご対応します」くらい言えたら、相手の心を動かすことかできるかもしれません(もちろん動かないこともたくさんあります)。

相手の気持ちを動かすほどの熱意を、表してみるのです。


編集経費ってなに?  その1…ページ単価

2016年4月22日 (金)

誌面の作り方がわかるようになって

企画もハズさず作れるようになって

校正だってしっかりできるようになって

いろんなことがどんどんできるようになるなかで

お金のことをマスターすることが、編集者の覚えるべき仕事のフィナーレなんじゃないかと思います。

これができるようになると巣立ちは早い……かな。

 

編集の仕事を進めていくときに避けて通れないのが予算のこと。

つまり編集経費です。

いついかなる時も、予算ありき。編集経費の中で作っていかなきゃなりません。

潤沢に予算があるときは、予算に合わせて、どーんと。

ないときはそれなりに。

といっても、「お金がないときは頭を使え」とは昔から言われることです。

 

編集経費の手始めに、ページ単価のことからお話ししましょう。

1ページをいくらでつくるかを「ページ単価」と言います。

デザイン、DTP、撮影、イラスト、スタイリング、ヘアメイク、

モデル、ライティング、謝礼、校正、編集、経費……全部あわせて、

1
ページあたりいくらの制作費でつくるのか。

 

モデル撮影を行うグラビアページなら、ページ単価が10万円以上のこともあるし

スタッフが全部内作して、費用が発生するのはDTPの流し込み分くらいだけ

(流し込みもスタッフがやることもあるかもしれませんね)。

「ページ単価は5000円」みたいなページもあります(お便りページやコンテンツがこれに近い)。

雑誌1冊の場合だと、お金をかける企画、かけない企画があります。


A4判型の平均的な単価が出せればいいですが、

版元(というか媒体かな)によって大きく違い、一概には言えません。

 

編集ページは、タイアップページ(広告ページ扱い)に比べて制作費は安いですが、

編集者の気持ちを存分に反映させられるのが魅力です。


雑誌ではなくムックの場合なら、ページ単価は立てず、グロス価格の提示が多いです。

1200ページを500万円でやってちょうだい」みたいなほうが、発注する側も楽ですよね。

 

 

「よっしゃ、予算内でつくるぞー!」と、「500万予算だから490万円♪」なんて計算をしていたら

編プロは倒産です(もちろんフリーランスも)! 

定常経費をみておかなくてはいけません。

くれぐれもお気を付けて。

 

 

※気分で進めているので「2」にすんなりとはいきそうにありません。

 ごめんなさい~。

WEB検索と「宛名のない善意」

2016年1月31日 (日)

Yahoo!ニュース」の

「年収240万円で子育てをしながら普通に暮らす方法。」(中嶋よしふみさん)という記事で

 http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakajimayoshifumi/20160114-00053396/

「宛名のない善意」という言葉に触れた。このブログが紹介されていた。

http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51018376.html

 

一日に何度WEB検索をかけるだろう。

そのたびごとに有用な知識を得ることができて、

初めてにもかかわらず金魚をちゃんと育てることができたり、

購入してみたら想像以上にデリケートだった植物の主張に対応することができたり、

冷蔵庫の残り物でささっとできる朝晩のメニューを考えられたり、

苦手なPC操作をフォローしてもらったり、スマホの不具合を救ってもらったり、

企画をつくるときの広がりを助けてもらったり、枚挙にいとまがない。

 

……、たとえば今「枚挙にいとまがない」を使ったところで

素の私は、「たとえを挙げてみれば枚挙にいとまがない」と書こうとして

「ん? 頭痛になっている気がする」と不安のアンテナが立ち

即座に「枚挙にいとまがない」を検索する。

weblio

【数え上げるときりが無い、数えられないほど沢山ある、などの意味の表現。「枚挙」は「数え上げる」という意味。】という情報を入手する。

すると、

「仕事で企画をつくるときの広がりを助けてもらったり、数え上げればきりがない。」

のほうがしっくりくるな、なんていうことになる。

 

仕事で企画をつくるときの広がりを助けてもらったり、数え上げればきりがない。

うん、落ちついた気がする。



話を元に戻すと、

とにかくそんな企画立案・展開のサポートをWEBにしてもらうこともあれば

漢字の筆記や読みや英語の綴りの確認、自分の知識のデータ的裏付けをしてもらうこともある。

電話で話す傍らで、話の内容の裏をPCでサクサクとっちゃえるのもすごく便利だ。

こういうことを30年前にやろうとしたら、結構時間がかかったものだ。

機械オンチの私が今、普通にPC操作できるのも、WEB検索のおかげ。

 

WEBで情報をいただくときに

世界は(少なくとも私が触れるWEBの世界は)、なんと善意で満ちあふれているものなのか

と思う。豊かさを感じることができる。

個人の利益とはほぼ関係なしに

惜しげもなく知識と経験を公開してくださる方には頭が下がる。

「知らない」相手(検索でたどり着いたユーザー)に対して、非難もなく、

わざと誤った情報を流して困らせるようなこともなく、

有用情報を公開してくださってありがたいなーと思う。

まさに「宛名のない善意」に助けていただいているわけだ。

 

最近の私は、自分の直面した解決すべき問題については、まずWEBからヒントをもらう。

今の自分の困った状態を入力して、スペースを入れて「改善」と入力検索すると

なんらかのヒントが出てくる。


 「金魚 沈む 改善」

「右足 しびれ 原因」

「桜 鉢植え 冬の手入れ」

「品川 桜 寺社 画像」  写真を見たいときは「画像」を入れる

「ワード データ消去 復元」

「アウトルック2007 iPhone 同期」

「お金をかけない 英語力アップ」

◎○○◎ 著作権」 

 

と、まあ、こんな感じ。

冷蔵庫の中の余り物をスペースを入れて入力し、スペースを入れて「簡単レシピ」で

私にもできそうなレシピがあらわれる。

カメラやコピー機の説明書が欲しいときも、WEBで検索すれば簡単に入手できる。

 

もしも出てこないときは、自分の入力の仕方が甘いと認識をあらためる。

近い言葉で入れ直してみるとほぼ必ずと言っていいほど、欲しい情報にヒットする。

 

そんなことからも、その、現在の自分の窮している問題について(健康状態や経済状態、PCの不具合、イベントごとで困っている時など、ざっくりオールマイティに)

窮している人は決してひとりではなく

少なくない人とが自分と同じことがらについて窮した経験を持っていることがわかる。

常に、そのことに対するなんらかの情報を得られるのがWEBの世界だ。

それらは「宛名のない善意」で成り立っているといってもいい。

宛名のない善意は、すべて、探した自分が享受することができる知の宝物だ。

 

もっとも、まったく異なる面も持つのもWEB特性だ。

アプローチのしかたひとつで「宛名のない悪意」に触れることもできるはずだから。

WEBを通じて攻撃された、傷を受けたと感じる人だっていらっしゃるかもしれない。

どこを見て、どう使うかによって、毒にも薬にもなる。

……って、なにかに似ているよなぁ。

すぐれた道具ってみなそうなのかもしれない。

 

 

しばらく続く大デジタル時代、編集者は検索上手になるのが仕事の早道。

企画にも校正にも執筆にも、大いに役立ててください。

検索しながら、検索そのものを洗練させていくことを頭の隅に置くといいと思います。

恩恵にあずかりたおしている自分も

「宛名のない善意」を差し出せるものでありたい、と、思いつつ……

 

【ご注意】

くれぐれも、コピペでそのまま情報を流用するなんていうことはしないように。

とくに仕事で使ったり、SNSで情報を共有する場合には、

 情報の信用性を確かめたり、情報元を確認したり、

 二重三重に調べて情報そのものの精度を高めること。

 情報に振り回されてはいけません。

 

 

 

スタンディングワーク、いいじゃないか!

2015年6月30日 (火)

5月のことだ。品川シーズンテラスへ開業以前に取材で伺ったとき

スタンディングオフィスワークのレイアウト提案があり、心惹かれた。

(今さら、ですかね。まあ、いい)

 

スタンディングワークスタイルは、座りっぱなしよりも健康にいいらしく

欧米ではずいぶん浸透しているという。

 

やったはいいけれど「やっぱり性にあわなかった」、なんてことを考えると

専用のデスクを買うのもためらわれるし、それなりに高価だし、

あまり広くないのも気になる……。

サイトでいろいろ調べてみると、小さなテーブルをのせるだけでも

簡易なものができるというじゃないか。まねしてみよう!

 

カギは肘の角度と、PCの画面の角度らしい。

肘はほぼ90度がもっとも負担が少なくて

PCは…たしか20度見下げるくらいだそうだ。

ここにフラストレーションがあると、移行のハードルが上がってしまう。

 

「やってみようかなー」と思いつくとすぐできるのは

小さな会社ならではだ。

うちから小さいテーブルとブロックを運んできて、デスクの上に置いたら、

高さバッチリのスタンディングデスクが完成した。

愉快なスタンディングデスク、プライス0円。

なかなかいい。

 

【メリット】

○首がラクになった(そもそものきっかけはこれ。衝撃の故障…詳細はまた今度)。

○集中しやすい(食後も、夕方の逢魔が時も眠くなりにくい)

○動きやすい(ピンポーン、「はーい」がやりやすい。「よっこらしょ」が消滅した)

○机の面積が広くなった(二段ベッド的に)。

○呑気性が改善した(想定外。夕方の腹部膨満感が圧倒的になくなった)

それもあって腹痛が減った。

○腹筋が少しついてきた。この分でウエスト絞るぞー。できる気がする。

○間食も減った。少食になった(「立って食べるのはお行儀悪い」というのが染みついて、食欲が減る。

間食以外も一回の食事量はやや少なくなってる)

○脚が疲れる(今まで上半身だけで動いていたので、「全身で働いてます」感が実にいい! )

○痩せた(1週間で1キロちょっと)

○座るよりも脚のむくみがマシ(むくむにはむくむ)

○なぜか普段が早歩きになるし、うちに帰ってからストレッチとかしちゃう。足が軽い!

○なんとなく前向きだ(アルマジロ姿勢にならないからかな)。姿勢の改善。

○家でも動きやすい(座って根っこが生えにくいというか)。

○夜、横になって5秒で眠れる。適度な疲労感。

 

【デメリット】

○立ち仕事に慣れていない人はかなりつらいかもしれない。

WEBでも「スタンディングワークはぜんぜん快適じゃなかった」人の体験談もあった。

はじめから無理は禁物と思ったものの、

 性格上、途中で座ると移行できないんじゃないかと思い、私はいきなり通しでトライした。

初日から12時間とか14時間立ってるけど、できちゃったなぁ。

○最初は脚と腰がものすごく痛かった! 

しかしおかげでほかの愁訴が全部飛んでしまう(これは素晴らしいと思った)。

 日数が進むにつれ、痛みからただの疲労に変わる感じ。

 若い頃、初めて書店で立ち仕事を経験したときは、足の裏やふくらはぎに

インドメタシン塗りたくってこなしていたけど、もはやそれほどでもない。

○座りつづけられなくなった。

 こんなにすぐ退化するものなのか?

ものの2時間イスに座っているだけで、お尻がつらい! 

○うちでは座ってやるので、その違いが少し微妙。 

○周囲に驚かれる(これは3日で慣れてもらえる)

 

 

そもそもパターンを変えることに興味があるので、こういうことになっているのだが

まるで引越ししたみたいな気分転換だ。

目線の高さを変えるだけで、こうまでいろいろ変わるとは驚き。

 

大きな職場で働いている方は難しいでしょうけど

個人の方、小さな職場の方、いかがですか。なかなか楽しいですよ。


手作り感満載…。
校正も電話番号確認も構成案づくりも
ここでやっちゃうのさ。
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待つ人 1

2015年2月 5日 (木)

昨日の続きです。

 

編プロの仕事は中間管理職に似ていると思います。

上の人(版元の担当編集者だったり、編集長だったり)がいて、

”ではないけれどもいろんな方々(フォトグラファー、イラストレーター、ライター、デザイナーほかいろいろ)のお仕事を束ねて

束ねたものを“上の人”に見せるわけです。

 

先日、リデザインをデザイナーさんにお願いしたときに

うっかりアップの時間を聞き損ねてしまいました。

 

レギュラーの仕事なので、スケジュールはおしりは決まっています。

アップしたものを上の人に確認しないと、そのおしりに向かって次の駒へは進めません。

上の人のスケジュールもあるので、本来なら「いつごろ上がります」と

伝えておかなければ、上の人に対して不親切です。

 

やっちまった…。

 

「すみません、リデザインのアップ時間を聞き損ねてしまいましたが、たぶん本日じゅうくらいだと踏んでいます。確かな時間を確認しましょうか?」

と版元の担当編集者にお伝えすると、

「わかりました。時間は聞かずに結構です。

せかすより、じっくり仕事していただくのを待っていましょうよ」

 

わかっていらっしゃる!

 

 

そういう言葉がすっと出るのも、

そのデザイナーさんへの信頼があるからこそなんですね。

 

 

そのリデザインが見事だったのはいうまでもありません。

 

みんなすごいねぇ。

待つのが仕事 悠々と急ぐ

2015年2月 4日 (水)

編集者は「待つのが仕事」とよく言います。

クリエーターがアップするのを待つことが多いからです。

 

10日(月)の夕方にデザインアップということになると

その上がりを待って、ライターに回したり、DTPの段取りをしたり、

デスクのスケジュールを調整したり、やらなければいけないことがいろいろあります。

 

ルーチンワークを待つのとは別に

初校時に大幅な訂正が入り、DTPだけでは対処しきれなくなって

もう一度デザイナーに戻してリデザイン、上がりを待つ、みたいなこともあります。

定期刊行物で進行がずらせないものは、

そのリデザインが入ると大幅に時間を食うことになりますから、

とにかく巻いていかなければいけません。

 

しかし、デザイナーにしてもリデザインは予定外の仕事です。

あちらにはあちらの仕事がいっぱいいっぱいなわけで(人気者のデザイナーならそうなります)

そこにねじ込んでもらうわけです。ちょっとしたせめぎあいだと思います。

 

急いではほしいけど、決して急がせちゃだめ。

だって、急いてはことをし損じると昔からよく言います。

修正が大きければ大きいほど、ぎりぎりまで粘って、いいものをひねり出していただかなくてはいけません(←デザイナーに)。

あえて、こちらは悠々と構えてみたりするわけです(内心、十分焦っていたとしても)。

 

先日、腕利きのエディトリアルデザイナーと飲んでいたら、スケジュールの話になりました。

「ああいうとき、焦らないの?」と聞いたら、彼が言った言葉。

「待たせておけばいいんです。それで焦っちゃだめだ。こっちはいいものをつくるのが仕事。それを忘れちゃいけない」

 

しびれました。かっこよろしいわぁ。

 

もちろん彼は、必ず締め切りは守る人ですが、言ったギリギリまで粘るタイプです。

たとえば大きな直しが入って、翌日出しが締め切りになった場合、

もしも前の晩リデザインができあがったとしても、かならず翌日出してきます。

ひと晩寝かせて、翌朝もう一回見てくれている。そのひと手間をかける人。

そんな安心感があります(自分もそういう者でありたいです)。

 

もう20年近く前、大阪の天五にあるこの道50年のたこ焼き屋さん

「うまい屋」の大将が
似たようなことをおっしゃっていました。

「たくさん行列ができて、お客さんがぎょうさん待ってはるやろ。

そんなときこそゆったり構えて、きちんと仕事して、ええもんつくらなあかん。

お客を待たせてるからって焦ったら一巻の終わりやで」

あの言葉を忘れません。

 

「悠々と急ぐ」っていいよなぁ。

 

間違うと恥ずかしいこと 文字ブロックの表現

2015年1月28日 (水)

サムネールや構成案を書くときに、文字ブロックの表現は、

アルファベットの「N」や「Z」みたいな表現をします。

(本来、別にアルファベットを書いているのはありません。

 

こんな感じ。
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これらは、縦書きか、横書きかをあらわしているもので、

文字の流れのとおり、線を引きます。

縦書きは上から下に流れて、右から左へ。

横書きは左から右へ流れて、上から下へ。

 

だから、「N」や「Z」が逆になることはありません。

そんなふうに文字は流れないでしょ?

 

たまに間違えちゃうと、「わかってない人」みたいで、恥ずかしいんです。
気をつけましょう。

扉のつくり方

2015年1月27日 (火)

編集の新人さんがいちばん最初にまかせてもらうページは

扉と奥付なんじゃないかと思います。

私はそうでした。

仕事をはじめるにあたり、上司と一緒にデザイナーさんにご挨拶に伺いました。

上司に

「うちの新人です。今はこんなふうに初々しいですけど、すぐにデカイ態度で

発注するようになると思いますのでよろしくお願いしますね」と、

デザイナーさんに紹介してもらったのがうれしかったのを、今もよく覚えています。

 

さて。

扉は、まとまったページがある印刷物の、章のはじまりに置くページです。

その章の玄関みたいなものなので「扉」。言い得て妙ですね。

 

雑誌の企画でも、まとまった10ページ以上くらいの
まとまったページ数のあるものにはほぼ扉がついています。

ドカンとインパクトいっぱいに始めるために、「見開き扉」にしたり、

ぱらぱらめくっていた手をしっかり止めるように、「片起こし」(片扉)にしたり。

いろいろな扉があるものです。

まずはいろいろな雑誌やムックを書店で眺めて、扉の作り方を観察しましょう。

 

ムックや書籍の場合なら、統一感をもって扉がデザインされているなど

遊び心が窺えるのも楽しいです。

始まり感をどう表現するか、そこで手をどうやって止めるかがポイント。

こればっかりは、いろいろ見ておくのがいちばん。

書店でチェックして、目を肥やしてください。

 

扉をつくるときは、本作りの過程の終盤であることも多く

すでに右ページか左ページか、見開きか片扉かも決まっていますから、

それを確認した上で

どのようなテキストを、どんな強さ(大きさ)で置きたいかを考えながら

サムネールをつくり、

・テキスト

・ビジュアルの素材(写真やイラスト。色ベタやパターンを使う場合も)

・サムネール

をデザイナーさんに渡して、完了。あとは仕上がりを待つだけです。

 

たかが扉、されど扉。

センスがあらわれますから心して。

 

そしてデザインが上がってきたときの感動を噛みしめてください。

私はいまだに、このデザインアップの瞬間が、

編集の過程で一番好きかもしれません。

 

こちらも参考にどうぞ。

デザイン入れ・サムネールの作り方・写真整理の仕方

http://zerohachimaru.cocolog-nifty.com/nonchan/2008/03/post_449e.html


健闘を祈ります。

生き残りは「年下」の扱いにかかっている!?

2015年1月27日 (火)

三十歳になると、版元にいる同年代の人たちは、相応のタイトルがつくようになります。

まずは副編集長あたりが多いかな。

このへんで、私は年下のことを意識するようになりました。

 

三十歳。5年以上も同じ畑(業界)にいるのですから、立派に中堅です(社歴ではありません)。

入りたての人からみたら、ちょっとこわく感じて当たり前。

実際、右も左もわからずにやっている版元の新人さんたちに

振り回されることもあるでしょうし、

何の因果か、こちらが後始末しなければいけないことだって出てきます。

 

でもね。年下は意識して大事にしたほうがいいと思います。社内でも、社外(版元)でも。

(年上は、意識しなくても大事にするでしょ?)

「あの人、年上だけど、話がしやすいみたい」と思ってもらえたらラッキーです。

年下さんがわからずに、でも聞けないようなことに気づいたら、さりげなく教えるとか

嫌みじゃなく「これ、こうするとすごく早いんですよ」といって情報を入れるとか

「こういう写真って、シズル感があっておいしそうでいいよね」とか。

もしもなにか相談してくれたらラッキーと思って、ちゃんと話をしてみるとか。

 

こちらはクリエーター。相手にとっては外部発注先。

長い人生、これから先はどんどん年下が増えるんです。

ついでに間違いなく、発注者も年下になっていきます。

そのときに、ただこわい上の人ではだめなんです。そんなのだれでもなれるもの。

「腕のいいクリエーターがいるけれど(これはよくあるでしょう)、
年上だけどコミュニケーションが取りやすい、自分の思ったことを怖じけずに伝えられる」

だからこそ、一緒に仕事がしたくなってくれて

こちらの年齢を気にせず、発注してくれる。

こういう流れになるんじゃないかなと思います。

「年上で器用なのにお願いしやすいの。あの人なら私、仕事もラクできるの」

そう思っていただけたらうれしい。

 

シズル感のある、感性のいいのは、自分より年下(かも)。

自分にはない感性をもった若い人。

その人たちが気楽なように気遣いながら仕事を進められること。

おとなだったら、そのへん気をつけてみましょうよ。

版元でも、ほかのクリエーター相手でも、同じです。

 

こちらはあくまでしなやかに、締め切りは厳守しつつ

やりとりはいつもおだやかに。年下さんの話をまず聞くことから。

 

これは、長く仕事を続けるコツのひとつだと思います。

我々は、発注をいただかなければ、商売が続かないのですから。

それを支えるのが年下さんです。




これを読んだ年下諸君。お仕事待ってるわよ♡

努力はいらない

2015年1月25日 (日)

気が付けば、編集者になって25年。

「気が付けば」という言い方が正しいと思います。

「この仕事をずっと続けるぞ」とか「石にかじりついてでも頑張ろう」とか

思ったことはありません。大義名分もないし。

 

続けてこられたのは、偶然のつらなりです。

性格は、飽き性だし、根気もないし、ガマンがきかないタイプだし、人から指図されるのが大嫌いなうえに負けず嫌いだし、

「努力」と「根性」ほど苦手な言葉はないし、どれもいまだにあてはまります。

 

なりたくて編集職に就いたわけではありません。

学生の頃はむしろ、編集者にだけはなりたくないと思っていました。

当時は書籍の編集しか範疇になかったので、「あんな地味でしんどいもの、ヤダ!」って。

しかも自分が作品を書いて世に出たいのに、

なにが楽しくて人様(作家)の作品を世に出すお手伝いをするのかとつらくなっていました。

ところが「雑誌の編集」というカテゴリーを知るや、「面白そう!」と、今に至ります。

しかも2年限定のちょっとした経験だけのつもりが……気が付けば25年。

人生なにがあるかわかりません。

今じゃ「雑誌もムックもおもしろいけど、書籍もおもしろい!」と思える編集者です。

 

20年間くらいは、編集の仕事は「好き」ではないけれど、

「向いている」と認識していました。

「楽しくてたまらない」わけではなく、むしろ気持ちはいつもフラットです。

だけど、時間の過ぎ方がものすごくはやいので、「自分に向いている」と判断できるのです。

きっと性に合うのでしょう。

締切があって、ひとつのものが確実に完了し、形になるところが気持ちいい。

みんなの力を合わせると、思いがけないほど素敵なものが出来上がって感動する。

20年過ぎたあたりから、「好き」っていってもいいかなと思っています。

 

「努力」が苦手と書きましたが、努力という言葉は相対的だと感じるのです。

よい成績をおさめるためには勉強が必要だというのはわかります。

でも、努力ってなんだろう?  ずいぶん相対的な言葉なんじゃないか??

好きなものや、興味のあるものに対して、

それらに対峙するあるべき自分に少しでも近づくために

様々なことを学んだり行なったりするのは、

当人にとっては非常に当たり前のことで、そういうことを当人は「努力」とは思わないでしょう。

対峙する自分に、自分が納得するための、切符が欲しいだけです。

それを、時間や回数などが人と比べて多いから「努力している」と言うのは他人だけで

他人目線の評価が「努力」といわれるような気がしてなりません。

当人は夢中なだけで

次元が変われば、同じ行為を「サボっている」と言われてもおかしくないんです、きっと。

 

一人称レベルでいうなら、努力ではなく、ワクワクです。

気が付けばやっちゃっているだけだし、だれにも止められない。

その先の景色を見たいからやるだけで、好奇心が原動力なのです。

ものを極めていこうとするのはそういうことなんじゃないかと思います。

 

だから、「勉強しなくちゃ」とか、「磨かなくちゃ」とか、「頑張らなくちゃ」とか

悪いことではないけれど、義務に思うならその程度です。

自分の中に軸がないからどうしても脆弱になる。

極めたいものがあるときの知の欲求って(肉体も含めて)、だれにも止められないんじゃないかしら。



逆に、気が付けばやっちゃっていたり、ハッと気が付けば時間が過ぎていることがあるのなら、

自分の才能はそこに関連する可能性が高いのですから、

自分のありようを見直すのもいいかもしれませんね。

 

PCのメンテナンス データ名のつけ方

2015年1月23日 (金)

編集の仕事は、気が付くとすぐに紙だらけになってしまいます。

IT化が進んで、ずいぶん紙は節約できるようになりましたが

それでも使う紙の量は多いです。

 

以前は、校正紙のほか、先方とのやりとりはすべて紙で

保管していましたが(だいたい発売期間後、半年間保管)

最近はメールを使い、PDF添付で先方確認させていただくことが多く

紙を使わず、データで管理するようになってきました。

先方確認のPDFを、そのまま添付してメールする習慣をつければ

メールが確認の証拠として残るので便利です。

(アップロードしてはだめ、メールに証拠が残らないから)

紙で確認したものは、PDF化して管理しておけば、ペーパーレスでOK

 

仕事と仕事の合間(レギュラー仕事の号と号の間とか)に

必ず行うのが、PCの容量ダイエットです。

ノートパソコンを使っているので、容量はそんなにはありません(222GB)

PCのローカルディスクを右クリックしてプロパティをチェック

空き容量が半分くらい空いているように整理します。

(終わった仕事のデータを、外付けのハードディスクに移動させ、本体を軽くする作業です)

これをやっておかないと、スタートするとどんどこ届くデータに対応できず

マシンのパフォーマンスが落ちてしまいそうなので、必ずケアしてあげます。

 

さらにデスクトップアイコンを、限りなくゼロに近づけるようにしたいものですが……

デスクトップのアイコンがずらーっとあると、仕事ができない人みたいでせつないです。

できるだけライブラリで管理して、デスクトップはスッキリと。

また、データの管理は、データ名をできるだけ統一すること。

Y(年)M()D(日付)内容_媒体名号数

でまとめていきます。

すべての書類が迷子にならないようにすることです。

(チームで仕事をするときは、原稿のバージョン(回数)を入れたりなど

みんなで保存の仕方を共有しておけばいいですね)

 

ときどきテキスト名やフォルダ名に

-」(ハイフン)や「・」(ナカグロ)を使っていらっしゃるのを見かけますが

アップロードサイトによっては使えない記号なので

_」(アンダーバー)を使うようにするほうがオールマイティで効率がいいと思います。

えらそうに書いてますが、ITとかPCとか、本当はものすごく苦手分野です。

でも、わからないことは検索すれば教えてくれますから安心して!

苦手と思わずにやっていくこと、楽しむことは大事です。

理想は、新しいことをいつもワクワクして楽しんでいる、ポール・マッカートニーの姿!

 

紙の資料関係もPDF化してスリム化させるといいのでしょうけど

なかなかそこまではできないのが目下の悩みの種です。

でも、今年こそはやるぞっ。

 

超簡単 料理写真の見方

2015年1月22日 (木)

今日お目にかかった飲食店のご主人が、

ご自身で iPadを使って撮影した料理写真をいろいろ見せてくださいました。

これがとてもよく撮れてる!

ライティングまでされているのに感心して、伺ってみたら

「撮影に来たカメラマンさんと仲良くなって、いろいろコツを聞いて、自分でもできるようになった」

とのこと。素晴らしいですね。

 

 

仕事の写真の見方は難しくありません(「作品」はまた別次元です)。

ただときどき「写真の見方がわからない」と言われることがあります。

 

詳しく話すとひと晩中話していられるテーマなので、超簡単に

料理写真の見方(チェックの仕方)についてまとめます。

早い話が、同じ画角の、似たような写真を20点見れば、

どれがいいかなんとなくわかるようになってきます。

情報誌の、ラーメンばかりとか、パンばかりとか、同じ大きさの店内写真ばっかりとか、

そういうのを見ると比較がしやすいのでわかりやすいはずです。

 

【料理写真のチェックポイント】

・ピントはどこに合っているか

  浅いもの……わずかなところにピント。ほかはわりとぼんやり。ムードがある

  深いもの……全体にピントがきていてぴしっとした仕上がり

  雑誌によって方向性が決まっているので、確認を

 

・料理は明るいか、見やすいか

  明るいからといって、白っぽいものが白トビしているのはよくないし

  器の中の料理が真っ暗、なんていうのもよくないし

    ⇒雑誌(で使う紙)の特質によって、
     少し明るめがいい、暗めがいいってあるんです。

     取材のときはたぶんそこまで気にしなくても大丈夫かな。

 

・画角

  1点をセンター揃えで、器を切らずに揃えている以外、

料理2~3品の場合は、器をどんなバランスで置いているかチェックしてみてください

画角の善し悪しで印象は決まると思います

これも雑誌によって、寄りで撮るか(料理に迫る/勢いが欲しい場合)と

引きで撮る(料理をすべてフレームに収める/あとでトリミングしたい場合)

場合があるので、かならず確認を

 

・シズル感

  みずみずしい感じのことを、印刷用語で「シズル感」と言います。

  お料理がみずみずしかったり、ほわほわ感があったり、臨場感があるか

  たとえば付け合わせの生野菜はピン! ラーメンの海苔はピン!

  アイスは溶けていないことだったり……。

 

・いらないものが写っていないか(皿の汚れ、不要な水滴、背景のゴミ・汚れ、クロスのシワ)

ごくたまに「ぎゃー!」みたいなことがあるので、よくよくチェックして。

カトラリーに自分が写ってるじゃないか!! みたいなことは少なくありません

  最近はデータで仕上げるので、そういうミスはほぼ納品までに修正できるようになりました

 

・究極をいえば、写真は光りと陰です

  このキーワードを、見るときに意識するようにしてみてください

 

【まとめ】

取材で撮影に同行する前に、どんな写真を撮るかにあわせて

書店で雑誌をチェックしたり、ウェブでおいしそうな写真をチェックしたらいいと思います。

「どう撮ったらおいしそうか」を自分でなんとなくイメージしておくのが大事です。

 

知りたいと思ったら、冒頭のお店のご主人がなさったとおり
その道のプロ、フォトグラファーと仲良くなるのがいちばん早道。

現場でフォトグラファーに教えてもらったり、

時間がゆっくりしているときに「ちょっと教えてください」といって尋ねれば

きっといろいろ教えてもらえます。

 

私だって編集者になりたて、最初のムックを作るまでは

写真にライティングが必要なことすら知りませんでした。

というか「え、写真て、そんなに違います?」くらいなレベルでした。

だからみなさんもきっとすぐ身につきます、大丈夫。

 

でもね、いい写真を見ると、圧倒的にいいことがわかります、やっぱり。

1点撮影のカタログ写真でも、その差歴然です。

変な言い方だけど、撮る人が、

その料理にどれだけ愛着をもって撮るのかが
あらわれるんです、料理写真って。

 

 

「進行」 だれを味方にするか

2015年1月20日 (火)

編集業務での「進行」は、本ができるまでのスケジューリングのことを指します。

雑誌の版元の編集部には専門の進行役がいることが多く

編集者それぞれが担当した各企画の進捗状況をすべて把握し

印刷所やDTPといった制作部門と調整しつつ、仕事を進めていきます。

スケジュール通りに出版できるように管理するのが、進行の仕事。

印刷所との約束の入稿日に遅れないように目を光らせます。

進行は、制作部門からの各企画への問合せの窓口としても機能します。

 

編プロ出身の私は、版元へ出向したときに

「えー、進行専門の人がいるの!? すごーい!!(=うらやましい)」

と思ったものです。

編プロの場合(少なくとも私の出身の編プロ、それに弊社もそうですが)

進行専門にスタッフを確保する金銭的な余裕はありません。

どうするか。

自分でするんですっ。

 

私が初めて200ページのムックを担当したとき(かれこれ25年ほど前か)、

編プロに入ってすぐで、編集の仕方もなにもわからない状態でした。

先輩編集者もみんな一斉に辞めてしまう時期で、教えてくれる人がいません。

同じ歳の相棒がひとりいるだけで、あとは荒野です。情報は800件ありました。

目の前には、印刷所の担当者が作ってくれた

素人目にはまったくわからない、暗号チックな「進行表」だけがあります。

……???」

それでもやらなければいけません。

まったく段取りわからないし、どうしようかなぁ……と考えて、出した結論。

「印刷所の担当者さんから言われた通りにやろう」でした。

とにかく、その都度聞いて、

「ここまでになにをしろ」と言われたことは的確に仕上げていくことだけを徹底しました。

ちょっとでもわからなければ、すぐにその担当者に尋ねることにしました。

 

印刷所の担当者に味方になってもらえば、叱られたり、たまにケンカごしになったりしながらでも、本はできます。

 

当時、担当は同じ歳の男性A氏で、職歴はこちらよりもある方でした。

こちらも徹夜の繰り返しでしたが、そんなこちらの手落ちを救ってくれて、印刷所で作業してくれて(あれは写真指定だったかぁな)

夜明けに「終わりました。不備はありません」と電話かけてきてくれたことをよく覚えています。

こちらが完徹で色校戻しを仕上げている朝には、ピックアップのかたわら、

朝ご飯を差し入れてくれたものです。

 

編集者の間では「それでも本はできる」なんてよく言います。

びっくりするようなトラブルに見舞われても、だれかが倒れたり、だめになったとしても

私たちはいつもそれをなんとか乗りこえて、予定通りに本が出るのです。

 

たとえこちらが進行的にすっとぼけたことをしでかしても

たしかな味方さえいてくれたら

大事にならないうちに、お尻を叩いてくれるし、カツを入れられます。

今なら、印刷所のほかに、DTPオペレーターもぜひ味方になってもらってください。

ぺーぺーでも、窮鼠猫を噛む

2015年1月 9日 (金)

沸点は高いほうなので、仕事で人に噛みつくことはほぼありません。

30年間に4回くらいじゃないでしょうか。

1回目は前述したクレジット問題です。

このときは相手は社内の上の人だし、ハンガーストライキでもやったろか、くらいのつもりでした。

 

2回目は表紙の写真問題でした。

1993年、関西で初めての結婚情報誌を立ち上げていたときのこと。

表紙は東京の、エディトリアルでは有名なデザイナーさんが

アートディレクション(AD)を担当してくださることになりました。

 

はじめは、当時はご存命だった笠智衆さんと素敵なおばあさんを表紙に起用

……と聞いていて萌えましたが

残念ながら諸般の事情でご破算になり

著名な写真家の方が撮影されたドラマチックな花の写真でいくことになりました。

 

それが撮り下ろしではなかったようで

ある日、白のユリの写真(背景は緑がかった白)と、ピンクの花の写真、

2枚の写真が送られて来ました。

 

「写真は2つありますが、白でいきます」と、ADの右腕として現場を担当するデザイナー氏。

言われて絶句しました。

白のユリは確かに結婚式で使いますが、写真の背景の色が緑がかっていて、ピュアではない。

言葉を選ばずに申し上げると、辛気くさくて葬式ぽく感じたのです(ごめんなさい!)。

結婚式の本やのに、これやったら葬式やろ!!」と思ったので、

静かに噛みつきました(私は基本、行儀がいいのです……)。

 

私「結婚式の本ですから、華やかなほうがいいです。ここはピンクで」


D
「いや、ADは白がいいと言うので、やっぱり白」とデザイナー氏。


私「納得がいきません。ユリで、白で、この背景では葬儀に見えるでしょ? 

  あなたもピンクのほうがいいと思っておられるはずです。

  ADに、現場がピンクにしたいとごねていると、交渉してください」


D
「いえ、ADが白なら、私も白です。しかも彼は休暇で、今ハワイにいます……


私「この写真で、書店に平積みされたことを考えてくださいね。ね、葬儀でしょ?

……ハワイに、電話してください

  本の命運かかっているんです。お願いします

 

 

ここまでたいへん苦労して編集してきて(情報だって半端ないわけで)

表紙の写真一発で、オセロが全部白から黒になっちゃうみたいなのがたまらなかったので

静かに、しかし強く主張させていただきました。

 

この現場のデザイナーさんがまたいい人で、

彼からしたら絶対服従である師匠に(ハワイに電話をかけて)、
物申してくださいました。

……うっとうしかったやろなぁ。

おかげで、望み通りのピンクの花の写真が創刊号を飾ることになりました。


どちらにしても、巨匠ADさんはすごいデザインする人なんですから、

写真は実はどっちでもよかったのかもしれませんね。

 

今にして思えば、ぺーぺーの二十代の女の子(しかも版元でもなく、編プロです)が噛みついてくるのに

よくぞご対応いただけたものだと深く感謝いたします。

 

でも、ぺーぺーだろうとなんだろうと、

本当に愛情があるものがあるならば
しっかり守ってください。

ほかのだれでもない、今のあなたにしか、守れないこともある

肩書きではなく、つくるものに対する愛情の強さが問題なのですから。

でも、のべつ幕なしに噛みついてもいけない(それでは単なる短気!)。

 

 

けれど、ここぞというときには、窮鼠猫を噛むのであります。

201501082250_0001_2

1993年 けっこんぴあ関西版創刊号

スタッフクレジット は 歴史のひっかき傷!

2015年1月 6日 (火)

編集者になりたての頃、初めて“上の人”に噛みついたのは、

スタッフクレジットのことでした。

私が担当した記録誌の編集の大詰めで、

上の人が「奥付は作らない。スタッフクレジットも入れない」と言ってきました。

発行側と制作側との摩擦があったようでしたが、

そんな大人の事情でスタッフクレジットまで削られてはたまりません。

ずっとかかりきりで撮影してきたフォトグラファーの気持ちや

それを楽しみにしていた広報室スタッフの思いを考えると

とても了解することはできず、

「いえ、入れていただかないと困ります」と異議を申し立てました。

 

 

スタッフクレジットとは

フォトグラファー、スタイリスト、ヘアメイクアーティスト、イラストレーター、ライター、構成者、モデル……

そのページを作るために作業をしたクリエイターは誰かを、特集内などに明記するものです。

デザイナーや編集者、校正者、DTP、印刷など、全体に関わるものは「奥付」としてまとめられることも多いです。

 

 

編集の仕事と広告の仕事は、同じような仕上がりだとしても、

そのギャランティには3倍~5倍、一桁の開きが出ることもあります。

できあがりはそこそこ似ているのに、

お金のかけ方以外になにが違うのかというと、

クライアントフォローのほかに、クレジットの有無があるのです。

 

編集は、予算は少ないけれどクレジットが出るわけで

仕事したページ自体がクリエイターのおひろめにもなります。

クリエイターは「自分の仕事」として胸を張ることができるのです。

反面、それはクリエイターの責任でもある。

だからなかには、やっていること自体をおおっぴらにできない大人の事情もあるわけですが……。

 

出来上がった雑誌のクレジットを見て、第三者のほかの版元の編集者が

「この写真素敵! 今度この人に撮影してほしいな」と思いを寄せたり、

フォトグラファーが雑誌を見て「今度はこの本のモデルを起用しよう!」と意気込んだりと、仕事がふくらみます。

クレジットを通して新たな仕事へとつながることも少なくありません。

編集仕事のギャランティは安い。安いけれど、クレジットが出るからOK(思いっきり楽しく仕事できるしね!)、みたいなところもあるのです。

たかがクレジット、されどクレジット、なのですよ。

 

媒体側も、「この人にやってもらってるんです。スゴイっしょ!」みたいなことがあれば

クレジットの書体はどんどん大きくなります。

媒体側がクリエーターを自慢するような。わかりますよね。

 

反対に、クレジットの存在がお荷物扱いされることもあります。

文字の大きさが小さくいじめられたり、

英語のほうが日本語よりもスマートに見えるから、クレジットはローマ字表記でということも少なくありませんが、それでも入れないよりもよほどマシです。

「クレジットは入れない」。外部スタッフと仕事をするのにそういう気遣いのない紙媒体(編集者?)もあるのは残念な限りです。

 

 

「紙媒体」と書いたのは、

ウエブはまだまだそのへん、荒野だと感じます。

 

でも、ギャランティが安いなら、せめてクレジットは入れようよー!

 

と、考える感性を、どうか忘れないでください。

私たちは人と仕事をしていくのですから。

そのクリエイターの仕事に対するリスペクトを、

正しくあらわすことを忘れないでほしいのです。

編集者として。

 

 

文頭の異議申し立てについては、「クレジットあり」を勝ち取りましたよ。

25年経っても本は残ります。

彼の仕事も、彼の仕事と明記されて一緒に残る。

歴史にひっかき傷を残せるみたいで、ちょっと素敵じゃないかなぁ。

ページをめくりながらそんなことを考えます。

情報確認と“間違い電話”

2014年11月12日 (水)
情報誌を編集していたのでとくに、掲載情報の確認は、それこそ目を皿のようにして行います。
それだけやっても、誤植というのは発生することがあります(と、先輩編集者から聞きました)。

ブライダル誌の発売日に、取材先のホテルの広報さんから電話があって
うちの掲載情報の金額が2万円違っています。
144万円じゃなくて、142万円です。
でもこちらの校正ミスなので御社のせいではありません……
なんていうこともありました。
こちらのミスじゃないだけ、編集者的にはセーフかな……。


どんなことがあってもミスするなといわれているのは
電話番号と名称です(次に値段)。
それさえ合っていたら、ほかのミスはなんとかなる……と、語り継がれています。

電話番号誤植では、身近にコワイ例がいくつもありました。
間違った電話番号が、つながらないのなら不幸中の幸いです。
いちばんややこしいのが、間違ったお宅につながってしまうことです。


間違った番号先が、組の方の……女性関係だったりして。
ごめんなさいじゃすまなくて、菓子折でもすまなくて、「どうしてくれるんじゃい」と発展して
弁護士さん登場な例。

また、間違った先がややこしいところで、
「上のモンださんかい!」になって、上のモンが行ったら、軟禁されてしまった例。


そんなことにならないように、どんなに忙しくても、面倒でも、
できるだけ校了に近いゲラを見て、掲載情報の電話番号を見ながら
実際に電話をかけて、その紹介先が正しく出るかどうかを確認します。
情報を扱う大手出版社は、専門の確認部隊に外注して、
ミスを二重三重に防ぐようなシステムをつくっているところもあります。
しかし、こちらはこちらで(編プロですから)、ミスなきよう、やはり実際に最終の電話確認を行います。


多くは電話を実際にかけてみて、正しいところが出てくださったら
「ごめんなさい。間違いました」と申し上げて切ります。
(知っているところにはもちろん、「○○の電話番号の確認です。失礼いたしました」と申し上げます)
感動するのが、ホテルへ“間違い電話”をしたときの対応です。
素晴らしい対応をされる受付の方が多いです。
なかでも、大阪に「ザ・リッツ カールトン大阪」が初めてできた当時、情報確認のための“間違い電話”をしたところ

私    :「ごめんなさい。お電話、間違いました」
リッツ受付:「どういたしまして。
     また次回、どうぞよろしくお願いいたします



と、それは丁寧なご挨拶をいただいたのです。
「やっぱり、ここは格が違う……」と思ったものでございます。


電話番号と名称。お間違いなきように、ひとつ。

メールの添付ファイル → 上書きで消失 → 救出!

2014年4月21日 (月)

メールに添付したワードファイルに、ついそのまま作業してしまい、
「保存」して(←ここ、トラップ!)から書類をたたむ……

うわぁぁぁぁ!!! 5時間分の作業が、消えたじゃないかっ!!
添付ファイルの変更・上書き保存は、きかないんですね。困りました。

しかし、無事に救出することができました。
これがものすごく役に立ちましたので、ここに紹介させていただきます。共有しましょう!
http://outlook-navi.com/qa/ol49.htm


私のメーラーはoutlook2007で、ワードの添付にそのまま上書きしちゃました(OSはwindows7)。
自分から自分に送ったテキストで、
開いた瞬間に目の色変えて、5時間くらい書きまくったものでした。
23時15分のことです。

「やっちゃった!」「やっぱりない!」と愕然としたあと、また同じものを書き上げる自信はなく
「PCのどこかに必ず残っているはずだ!!」と思い、
WEBで「outlook2007 添付 上書き 保存 救出」で検索し
出てきたものに片っ端からアタックしていきました。


そう。困ったときにはすぐWEB検索!
マシンがブラックアウトしていなければ、なんとか切り抜けられます。
(ブラックアウトしても、ほかのPCで検索しつつ切り抜けられることもあります)
無駄なことは考えず、PCと自分の運を信じてやってくしかありません。
WEBの海に、こんな情報をアップしてくださる人に感謝です。


言うがママ、ナスがパパ。……善意だよなぁ。
途中で自分でやっていることが分からなくなってくるけど、なんとか核心にまでたどりつき
記録に残されたほぼ一日分のデータを洗い出して、該当時間にワードの保存記録が……
……ありました。
なんてお利口なんだっ! 私のPCちゃんっ!!(時間にして30分の格闘でした)
おかげで私のミラクル原稿が戻ってきましたぁぁぁ(輝いて見える!)。
※ちなみにoutlook2010からは、添付抹消事件は改善されているらしいです


火事場のバカ力とはよく言ったもので
二度と同じことをやれと言われてもできそうにありません……。
よくぞ検索で、HOW TOにたどり着けたよ、とも思います。
二度と過ちは起こさないように、
メールの添付は、しかるべき場所に別名保存にしてから。徹底しましょう。

***
ちなみにoutlook2007の自己修復ホルダも、ちょっとやそっとではたどり着けない奥地にあります。
あるにはある。
もう少し表に出してくれていればいいのにね。新しいものでは改善されているのかな。

スタッフ紹介は呼び捨て?

2014年3月26日 (水)

取材現場では編集者は取材責任者。
ご挨拶のときは同行しているスタッフを紹介することは多いものです。

たとえば編集者がフォトグラファーと一緒のとき。ライターを同行しているとき。
そのスタッフを紹介するときは呼び捨てですか? 
それとも、「さん」などの敬称をつけますか?


ライター&フォトグラファーで取材に行くときは、ライターが先に挨拶しますよね。
フリーランスのふたりが同行するとき、フォトグラファーのことは呼び捨て?「さん」付け?


同じ会社、または同じ編集部の名刺をふたりともが持っているなら
社内(部内)扱いとして、呼び捨てが正しいです。身内ですから。


そうでないなら、敬称付けがいいと思います。
なかには「同じ編集部から仕事に来ているんだから呼び捨て!」という方もいらっしゃるかもしれません。
もしそうするなら、私なら先にフォトグラファーに
「ご紹介のとき呼び捨てでご紹介させていただきますが、恐縮です」なんて、先にひと言断っておきます(ほとんどないけど)。
だって、こちらが発注してお願いした、大切な方ではないですか!


こちらが堂々としていれば
取材先の相手は、敬称をつけようがつけるまいが、どちらでもほとんど気にしません。
(同じ編集部の名刺なら、「?」と思われます)
ただ一緒に仕事をする仲間が気持ちよく仕事できるかどうかが気になります。

編集者にとって、フォトグラファーは、素敵な写真を撮影してもらう宝のような人です。
この人に撮影してもらいたいから、この人の腕が素晴らしいから、わざわざ呼んできた人だということ。
敬称をつけて紹介することで、フォトグラファー自身の心証もよくなるだろうし、
取材先にも「この人、大事なクリエーターですから!」
「あなたのところをきれいに撮るためにわざわざ呼んできた人なんですよ!(ちょっと自慢)」と、
クリエーターを尊重する編集の気持ちが伝わります。
それが大事。
クリエーターはクリエーターなの。ただの作業人じゃあありません。
敬称をつけて紹介することで、現場にそのムードがあらわれるのです。


もしもですよ。何かの撮影のときに、とても有名なカメラマンを同行しているとしましょう。
きっと普通に、「さん」をつけて紹介するんじゃないかなぁ。


フォトグラファーだけに限らず、モデル撮影などで大所帯の撮影クルーを紹介するときも
それを基本にしています(もちろんライターと同行するときもね)。
そうすることで取材先やクライアントが、こちらのクリエーターに敬意を払ってくれるようになります(たぶん。その一端には、助けには、なる)。

人は、だれかがていねいに接する様子を見て
自分も、大切に扱わなくてはいけないなと、感じるものです。


敬称ひとつで、気持ちよく仕事がはかどるなら、いいじゃないですか!


どうぞよい現場になりますように。

携帯するもの

2014年3月19日 (水)

マシンが変わるだけで微妙な使い勝手が変わるのが苦手で、
PCはもっぱらノートタイプです。
おかげでフラストレーションがありません。
画面の小ささもなんのその!

移動と酷使のせいか何台もオシャカにしたので、
持ち歩きの耐久性で選んでいます。
国内外問わず、ほぼ肌身離さず持ち歩いていますが、
たいへんよく耐えてくれています。

今日は30分ほど電車に乗るし、座れたし、適度にうるさいし
(静かな車中では、キーボード音が騒音になるらしいので謹みます)
PCひろげて原稿書いていたら寝落ちしました……ぐっすり。

ところが、突然会話が鳴りだしたものだからびっくり。
指がどこかにさわったみたいで
デスクトップのインタビュー音源がPCのスピーカーから取材音声が再生されはじめ……。


恥ずかしかったわん。キーボード騒音どころじゃないですやん。


*  *  *  *  *  *  *  *  *  *
これだけで終わってもなんですから、携帯お道具考を少し。

編集者的に私が日々持ち歩くものは、レコーダーとカメラです。
最近はスマホがほとんどの機能を備えているので、
これさえあればフォローできて便利です。
今やWi-fiも持たずに、スマホでデザリングしちゃえばいいし
スケジュール管理もスマホがあれば手帳不要(いまだに私は手書き手帳派ですけど、使い分けます)。

でも、レコーダーだけは別に持っちゃうなぁ。
形が手持ちの使用時の取材に適しているのと、カバンに入れておいても軽いのと、
PCとの連動がよくて使いやすいのです。
取材に限らず、資料としてヒョッと録音することも少なくありません。


それにしてもあなたも私も、便利でいい時代を生きていますよねぇ。
労力が減った分、楽しいことをたくさんしましょうか!

仕事と近親者の葬儀

2014年3月 1日 (土)

少しマイノリティな話をします。

世の中には親の葬儀に出られない人がいます。

 

芸能関係の方でそういう話はときどき伺うけれど、

 

私の周りにもいらっしゃいます。

 

フォトグラファーとか、スタイリストとか、ヘアメイクといったクリエイターたち。

 

訃報を聞いて、入っている撮影をキャンセルするわけにはいかないわけで

 

なにごともなかったように仕事をして(気を遣わせるから周りの人に言えないのです)

 

仕事を完了させてようやく帰れるわけです。それではじめて悲しみに十全に身を置くことができる。

 

 

 

「親の死に目にも会えなかったし、葬儀にも出られなかった。

 

行けたのは葬儀の1週間後だった」

 

なんていうクリエイター仲間の話を聞くといたたまれません。

 

どんなにつらかったろうと、あとから一緒に泣いたりして。

 

 

 

いたたまれないけれども、クリエイターの仕事は、

 

ほかに代わりがきかないからこそ自分にお仕事をいただけるものでもあります。

 

仕事をいただくこと、受けることに対する覚悟といってもいいかもしれません。

 

(ここらへんは、会社勤めの感覚とは異なろうかと思われます)

 

 

 

やっている仕事の内容にもよりますが、

 

親が死んだのに合わせてすぐ帰れないという点では、編集者も似ています。

 

もちろん、ふたり以上でやっていてだれかが代われる状況なら話は違います。

 

それから書籍のように、ある程度進行が自由にできるならまだしも

 

進行のただ中にあって、大勢の人とお金が絡むのを、

 

ひとりでまわしているときにはまず無理。致し方ありません。

 

そんな仕事を選んだのだと思ってあきらめます。

 

 

 


ナーバスな問題だし、正解はありません。
でも、その日はいつかはやってきます。
そのとき自分はどう動くのか、シミュレーションしておくのも大事だと思います。
たとえ故人とは意思が通じ合っていたとしても
葬儀に参列できなかったら、親族からは総スカンだし
仕事に穴をあけたら仕事はもうこないだろうし
(というか、保障問題に発展することだってある)。
……どちらにしても波風が立ちます。
クライアントの率直な気持ち「ご愁傷様です(でも納期は守ってもらわないと困る……)」
その言外の(  )の部分を、自分はどうフォローできるのか、ということです。

 


でも!

 

未来の悪いことばかり想像して落ち込んでもしようがないわけで

 

そこは「私は運がいいので間違いなく葬儀に出られて、

いい送り方ができるから大丈夫!(にっこり)」

 

と思うようにしています。

 

 

 

と同時に。

 

自分が仕切れる立場の葬儀なら

 

葬儀会社にエンバーミングと遺体の長期保存をお願いして

 

葬儀を待ってもらう方法を水面下で模索したりして。


 

いずれにしても、マイノリティな話だし、正解はありません。

ないけれどもちゃんと対峙して考えておくことは大事です。

マイノリティなりに、世間とどこまですりあわせることができるのか。



いずれにせよ、大好きな故人と自分なりにいいお別れができたと納得できることが、

それから先、生きていく上できっと大切なことになるのではないかと思います。



追記

とはいえ、身内の不幸があったときは、上司がいるなら上司にまず相談を。
フリーでない限り、会社にいる限りは守られると思います。

すべての人々がそうした悲しみに十分に浸ることができるということは
とても豊かな世の中なのではないでしょうか。

 

2015.2.11

 

 

 

 




 

 

 

 

インタビューの段取り インタビュー原稿の書き方

2013年6月26日 (水)

インタビューを初めてさせていただいたのって、25才のことでした。
お相手は、ピアニストのザイラー・エルーストさん。媒体はぴあのムックの『まんぷく図鑑』でした。
初めてのインタビュー前日、緊張していたのを覚えています。
東京事務所の先輩編集者に電話して(当時は関西在住だったので)
「すみません、明日初めてのインタビューなんですが、インタビューって、最初から最後まで先に構成考えて、質問してお話しして、その会話の順番で文章仕上げていくんですよね?」と質問し、大笑いされたのが昨日のことのようです。
……かわいい。

「ちがう、ちがう。話を全部伺ったあとで、それから文章の構成を考えるんだよ。構成を考えるのは、ものすごく大事なインタビューの仕事だからね」

……ものすごく気が楽になりました。
ほら、よくインタビューの原稿のクレジットって、「構成・文」で入っているでしょ?
その人の言葉を切って貼ってつなぎ合わせて、よりその人の言いたいことがわかりやすく伝わるようにしたのが、インタビュー原稿です。
ですから全体の構成力がものをいいます。

以下、著名人インタビューの手順と、原稿の仕上げ方の段取りです(アポイントメントを入れたあとから)。
アポイントメント時点で、取材費(謝礼)の話は終わっていると仮定します。

◎取材相手への取材費(謝礼)、必要経費は? 【編集者が担当】
取材費は、媒体によって千差万別です。通常は結構な取材費が必要な方でも、お相手の映画や作品の告知などのパブリシティと関わる場合は、取材謝礼は無料という場合は少なくありません。
お相手の前後の仕事の様子にもよりますが、撮影が発生する場合は、ヘアメイク・スタイリング料がこちらでもつ必要があることも(あくまでケースバイケース)。
また撮影場所(&お話を聞く場所)を確保するのに、お金がかかる場合も多いです。

◎撮影の有無  【編集者】
 撮影の有無は極めて大事。宣材写真で代用するのか、撮り下ろしでいくのか。
 撮り下ろしなら、撮影はいつするか(話の前か、あとか)、場所はどうするか。
 メイクやスタイリングが発生するなら、その場所はどこで? など。

◎どこでお話を伺う? 撮影場所は? 【編集者】
たとえインタビューだけで撮影がないとしても、著名人の場合は「喫茶店で」と、軽く考えてはいけません。個室が確保できるようにします。
撮影は場所の確保を。「撮影場所は屋外でいいや」なんて甘く考えてはいけません。パブリックスペースは撮影許可などの申請が必要な場合がほとんど。あらかじめ、撮影許可の申請を忘れずに。使用料が必要なこともあります。
撮影の場合は、先にフォトグラファーと打ち合わせして、構図を決めておくこと。
複数ページなら、どのページにはどんな写真を入れるか、写真の構成案を考えておく。

◎当日が近くなったら、スケジュールを組んでおく  【編集者】
お相手の当日のスケジュールに合わせて、スタッフ入り時間・先方の入り時間・支度の時間・撮影時間(撮影用意時間&本番)・お話を伺う時間など、タイムスケジュールをつくっておく。
ヘアメイクが必要な方なら、仕上がり後できるだけ早めに撮影をして(メイクとスタイリングがきれいなうちに)、あとは楽な状態で(メイク&スタイリングに気遣わず)お話を伺うのが安心です。先方のご都合と場所の手配を鑑みて、スケジュールを作成。
あらかじめ、先方にもお伝えしておく。


◎できれば前日は「よろしくお願いします」連絡を入れておく  【編集者】


◎お話を伺う準備 
1 当日までにお相手の方の情報をできるだけ仕入れる。
 作品があるなら作品に目を通す。
 HPがあればもちろん、取り上げられた雑誌などがあれば目を通す。
 最近はツイッターやFBで発信されていることもあるので、こちらも必ず。

2 編集者のどんなコンセプトの読み物にしたいかという意図に添い、編集者・ライター間でコンセンサスをとる。インタビューもそれに添った質問を中心に。仕上げの文字数にはくれぐれも注意。600字と3000文字では、述べられることもまったく違います。※この段階で、ページ数が確定できない場合もあるので、臨機応変に。
 

3 「2」の内容に合わせて、ふさわしい質問を用意する。
  できればお相手に、先に質問事項などをお送りするほうが親切です。


◎インタビュー本番[お話を伺うとき]
※編集者が同行する場合は、編集者が差し入れやお土産を用意するんじゃないでしょうか。お相手が喜びそうな差し入れひとつ、あるといいと思うなぁ。ぜんぜん違うと思うなぁ。

お相手の許可を得てから録音をする(専用の録音機のほか、最近はスマホでも録音できます。テープ起こしをすることを考えて、利便性をもとに録音機器を選びます)。
お伝えした質問を順にしていくほうがいいケース、お相手の気持ちのいいように喋っていただくにまかせるケース、お相手の個性に合わせてさまざまです。
くれぐれも、こちらのやり方を強要せず、お相手の心地よさ優先でいきましょう。


現場は取材者(ライター)がお話を進めていくことが多いです。
編集者のクセにもよるし、編集者とライターのカップリングによっても異なります。
臨機応変に。


※楽しげにお話を伺うのがいちばん大事。
 聞きながらメモをとるとき、書くことに集中しないように気をつけて。

※最近はノートパソコンでメモしながら、インタビューなさる方もいますよ。完全なタッチタイピングができるなら、それもありかと思います。打つときにお相手から視線をそらしてしまう程度なら、避けるのが無難。

※撮影が入るときは、世間話をしながら、録音もしておくと重宝することも。

※時間厳守で、お話をアップ。


◎インタビュー終了後
編集者とライターで、インタビュー直後にまとめ方のコンセンサスをとっておきます。
どの話を強調するか。オチはなにか。NGな表現はなにか。
全体の文章の構成は、「  」と地の文で行くのか。全部ひとり語りにしちゃうか。

編集の立ち会いがない場合は、できるだけ早く文章の構成案をまとめ
(できればその日じゅう)、編集者とコンセンサスをとっておきましょう。


◎原稿を書くぞ!
2P以上の長めの文章になるときは、音源を文字に起こし(俗に言う“テープ起こし”)をしてから原稿にかかります。
1P以下の場合なら、その日のうちに印象で原稿をまとめたほうが、いい仕上がりになることが多いです。
文章の始まりと、終わりの言葉を先にイメージしましょう。
そこが決まれば、中はするっといきます。たぶんね!

たとえさほどお話がはずまなかったとしても、ものすごくいい原稿に仕上げられることはよくあります。
要はお相手の気持ちや思いを汲むのがいちばん大事。そして空気感を読み取ることに、専念してください。
言葉以上に素敵なものをお持ちのことも、たくさんあります。そこに気づいてくださいね。


楽しいインタビューになりますように!


音声はボイスレコーダーに録音(チキンなので、iPhoneでも保険で録音しています)。

最初に購入したオリンパスが使いやすかったので、ずっと使っています。
USBジャックにそのまま差し込み、データが移動できるのがいいです。
音声の起こし方は人それぞれ好みがあるようですが
私はボイスレコーダーで操作しながら起こすのが好きです。
 

飽きないこと

2013年6月25日 (火)

いつだったか、挿絵画家の森田MiWさんが「一日ひとつ、新しいことをしたいんだよね」と話していらしたのが心に残っている。

毎日は、毎日毎日新しいんだけども、考え方でもいいし、アイデアでも、ものの見方でも、もちろん習慣とか行動でもいいから、なにかを手に入れることができたら素敵だと思う。
それは毎日変わらぬ暮らしの中でも、仕事の中でも、同じなんだな。

長くレギュラーの雑誌をやっているときに、「もう飽きちゃったよ」という編集メンバーがかならず出てくる。
でもね、読者はいつでも新鮮で、初めてページを開くんだよ?
そこにはワクワクがあるんだよ?
なのに、つくるほうが飽きてしまってどうするの。
つくるほうがだれよりもおもしろがれなくてどうするの。
過ぎてゆく毎日に、「同じだから飽きちゃった」なんて言っててどうするの。

すべては自分次第です。
いつも、いつまでも、みずみずしい感性を持つようにしたいですね。

きっと年齢には関係ないのだと思います。

森田MiWさん公式HP http://miw.cc/

ほぼ毎日更新される、彼女のツイッターの朝さんぽ写真、しびれますよ。(HPのトップに入口あり)

お祝い花の手配

2013年3月 7日 (木)

カメラマンさんやイラストレーターさんが展覧会を開催されるときや、
作家の方がイベントをなさるときなどには、お祝いのお花を贈ります。
編集部の名前で送ることもあれば(編集部と相談し、代行することも。
この場合は先に、編集部に、下の2~4を確認します)
自社の名前、ときには個人名で出すこともあるかもしれません。

どんなお花を贈ることができるかは、フラワーデザイナーさんの腕しだい。
ふだんから自分ごのみのフローリスト(お花屋さん)を定めておくのがいいと思います。

※催しのDMに、祝い花お断りとされているときは、うっかり贈らないようにお気をつけて。

【お祝い花の手配】
メールかファックスで、信頼できるお花屋さんへ以下の情報を送ります。

1 配達日時と送付先を伝える
開催日の前日の夕方、作品を搬入される時間を見計らって段取りします。
前日にオープニングパーティが開催されるときは、お花が間に合うように。

2 予算を伝える 
個展やグループ展の場合は、5000円~1万円くらいが多いでしょうか。
支払い方法を伝える(請求書払いにしていただくことが多いです)。
編集部から業務代行するときは、どの部署宛の請求にしてもらうかなどを、
編集部に確認します。

3 お花の札の内容を伝える
祝い花には差出人の札がつきますから、内容を伝えます。
個展の場合ならシンプルです。

例) お祝い  有限会社ゼロハチマル

編集部の業務を代行する場合は、媒体の名前でいくか、編集部をつけるか、
編集部の名前に編集長の氏名も入れるか、編集部に確認します。

グループ展の場合なら、宛名として作家の方の名前も入れてもらいます。 


4 イメージや形を伝える
どこに置かれるかを想像しながら、
卓上に置くタイプのアレンジか、スタンドタイプかをオーダーします。

私は、信頼できるフラワーデザイナーさんにお願いできるので、
イメージだけお伝えします。

贈る相手の性別と雰囲気を伝え、
「大人かわいい感じ」「ラブリーなかわいい感じに」「不思議かわいい感じで」
「ボリューム出してください」「お花の目利きですから、相応のものをお願いします」
「センスのいい男性なので、クールでスタイリッシュに」 
「北欧ぽい感じで!」「和を入れたアレンジで」など。

場合によっては、イベントのURLをくっつけてフラワーデザイナーさんに見ていただき
「これに合う感じで……」と、めちゃくちゃなお願いをすることも……。

使っていただきたいお花があるときは、それをお願いするのもよし、
色のイメージを伝えてもいいかもしれませんね。


以上かな。イメージを文章で伝えたあとで、かならず確認のお電話をしましょう。


地方に贈る場合は、いつものお花屋さんで手配して、
宅配便でアレンジを贈っていただくこともできるのですが
とくに夏場はお花がくたびれることもあります。
 WEBでその地方の上手そうなお花屋さんを探し 
   ↓
 電話で実際に相談 
   ↓
 オーダー
のほうが、お花がくたびれなくて安心かもしれません。

取材依頼のしかた

2013年3月 6日 (水)

【取材依頼の手順】
電話をいれてから、メールかファックスで取材依頼書を送付。
・媒体概要
・掲載の企画の内容
・希望する取材の内容(所要時間・ご用意いただきたいもの・撮影の有無など)を明記

できるだけペラ一枚に簡潔にまとめます。
あらかじめ「取材依頼書」のフォーマットをつくっておきましょう。

※もちろん取材の許可は出る前ですが、私はこの段階に、
 「気が早くてすみません」とお断りした上で、取材の希望日の候補をいくつか書き添えます。
 通れば話が早いし、先方の手間も少し省けます。

※メールもファックスも送りっぱなし厳禁。かならず電話でフォローしておくこと。

          *                              *

取材の依頼を受けていただけるかどうかは、ただ運や相性なのではありません。
依頼側のマナーや技術によることも多いもの。

編集プロダクションに入りたてのころちょうど情報誌のグルメ系ムックやってました。
こちら編集がリストアップしたお店にライターさんが取材のオファーをかけますが
お店に断られた場合は、ライターさんから「断られたので差し替え物件お願いします」と戻ってくるわけです。

当時の先輩編集者が、「断られない人はほとんど断られない、そういうもんなんだよね」と言っていたことを今もときどき思い出します。
おかげで、断られないことを意識しながら仕事ができたので、感謝しています。


交渉術といってもいいかもしれません。
相手の立場を考えつつ、決して無理強いではなく、あくまで心地よく、取材を快諾していただく。

こちらの媒体の魅力はどうで、先様の負担はさほどでもなくて、もちろん編集だから料金はかからなくて…。
それでも、先様はおいやな場合もあるわけで、そんなときはよく話を伺った上で、打開策を提案してみましょう。


お話を伺ってみると、
・とにかく忙しいから
・健康上の理由で、
・その媒体が好きじゃない
ときには、「以前取材のときとても迷惑したことがある」  なんてのも出てきます。

もしも本当に先様を掲載させていただきたいなら、なにがなんでも絶対に!! なら、
足を運んでお目にかかってでも説明してお願いしてみる(じつはそこでおまかな取材はできちやう。空気を感じるのがとても大事ですから)。

断られても、あの手この手で、都合三回はお願いしてみます。
昔から三顧の礼といいますからね。


忘れてはいけないのは、取材を受けていただくことで先様にかかる負担のことです。
「編集でしょ、ただで情報のせてあげるんだからいいじゃん!」
なんて、言語道断。想像力の欠如も甚だしい。


撮影の実費を負担していただくこともあれば、
対応するだけでも、時間と人の手間がかかります。
小さなお店や繁盛店なら、売上のロスになりかねません。
ホテルなど大きな企業なら、広報さんなどが対応してくれますが、
取材を受けようが受けるまいが、その方の給料があがるわけでなし、
「面倒なことはしたくないわよ」という判断があってもしかるべきところを受けていただくわけですよ。
間違いなく、それは手間なんです、結果先様の残業につながることなのかもしれない。

編集側はこれを忘れて、横柄な態度とってはいけません。
こちらの価値観と先様の価値観が異なることはたくさんあります。


いつも、取材を受けてくださる、人とお店の手間は、肝に銘じておきたいものです。


すると、受けていただける率はあがります。たぶんね。

断られること、多いなーという方は、ちょっと見直してみるといいかもしれません。


いざ、取材にいくぞー! その前に。
取材用のファイルはあったほうがいいように思います(私は形から入るタイプ)。
座って行う仕事なら不要ですが、立って行う取材なら必須。
はじめは安いのでもいいです。A4がおすすめ。

余裕があればだんだんこだわりたくなってきます……。

添付が外れる

2012年8月26日 (日)

添付が外れる

windows7にしてから、添付ファイル未着事件が増えてしまいました。
添付をつける際は、かならずファイアーストレイジなどのアップロードサイトに
アップロードしたものを添付し、保険にするのでトラブルにはなりません。

ところが、アップロードサイトが使えないという先様がお一方いらっしゃったのです。
おかげさまで、添付が外れない方法をいつも模索するのですが、「見つかった」と思った解が次はだめだったり。


そこで、見つけたこちらのブログ。これ、いけそうな気がします。
こちらのメール形式はテキストにしてあるのに、なぜ?? と思っていましたら
さにあらず。こんなところで、勝手に変換される場合があるんですね……。
アドレス帳! 盲点でした。

↓ ↓ ↓

http://www.aishinsys.co.jp/wordpress/?p=79

1 「テキスト形式のメールにする」これが基本みたいです。
 (アドレスでもそういう欄があるとは! 言われるまで気づきませんでした)
 そして、先方に行っているということは、「見えていない」可能性も多いわけですね。

ほかにいろいろやっていて効果があった(ような気がした)のは
2 デスクトップから貼り付けず、添付はフォルダに収納したものを添付する
3 PDFでだめなら、J-PEGにしてしまう(許される場合)
4 データ量は2メガバイト以下というところは多い

問題はいつも解決されるためにあります。
間違っても機器にあたらないでくださいね。

サムネールの大きさは?

2009年4月10日 (金)

版元やデザイナーによって、呼び方もまちまち。
ページのデザインをあげてもらうために、デザイナーにビジュアル素材とともに渡す
デザイン的な指示書のことを、「ラフ」だとか「サムネール」といいます。

ラフは、ラフスケッチの略。
サムネールは、親指の爪という意味で、小さく簡単に書くラフスケッチの意味。
本来は、ラフのほうがサムネールよりも精密度は高いようです。
たとえば、デザイナーさんが見本にあげてくれるものを「デザインラフ」とはいうけれど、
「デザインサムネール」とはいいません。
編集者がデザイナーに渡す指示書は、おおまかという意味で、「サムネール(サムネ)」といって構わないでしょう。

編集者によって、またデザイナーによって、喜ばれるサムネールもまちまちです。
デザイン入れのときに大切なのは、編集側がどんなイメージの誌面をつくりたいかを
的確にデザイナーへ伝えること。
写真を大きく使うのか、小さく使いたいのか、
文字量はどのくらい欲しいのか、
すっきり見せたいか、ごちゃごちゃした楽しいものにしたいのか、
白場の取り方のイメージがあるのか、ないのか。クールがいいか、甘くしたいか。
どことどこの文字の種類・大きさを揃えるのか。
それをサムネールにして、写真素材と一緒に、デザイナーへ渡すわけです。

正しく伝えるために、サムネールにはまず、必要な写真がわかるように紙面に写真枠を入れます。
渡す写真とサムネールに、わかりやすいよう合番を入れます。
文字のスペースを、横書きなら「Z」で入れます。
「Z」。アルファベットじゃないですよ。
文字の流れを示します。上から下→右から左の「N」線なら縦書き、
左から右→上から下なら「Z」線。
たまに間違っている人、いますね。恥ずかしいので覚えましょう。
同じ大きさ(文字級数)・書体のものなら、同じ色のマーカーでサムネールに印をつけておきます。
このとき、ページのタイトルや必要な小見出しは、一緒に添えて渡すこと。
そのネームの内容をデザイナーに伝えることで、デザインイメージが広がるのです。
あと、物件によって変わるデータ関連も、デザイン入れのときに揃えておくべきです。
最低でも、マックスとミニマム、平均的な文字量を伝えましょう。



で、問題のサムネールの大きさです。
要は、相手(デザイナー)に、編集意図を伝えられたらいいのです。
それさえできていれば、実は大きさは大して関係ないのですが、
駆け出しの人、画角のセンスに自信がない人には、ぜひ原寸でサムネールを描くことをおすすめします。
誌面と同じ大きさの方眼のついた紙などに、写真スペース・文字スペース……ととっていくのが、間違いが少ないからです。
「こんなに入るわけないやろ!」とか
「スカってて、成立しないだろ!」みたいな、基本的な構造ミスは防げます。
ちなみに編集暦20年のわたしは、いまだに、原寸ラフを描きます。
……画角センスに自信がないからです。
A4の誌面を作るのに、頭のなかでA5に変換して作るのは、二次元の計算に弱いわたしは非常に効率が悪い。
原寸なら迷わず、この幅でだいたい200文字、と、わかるわけです。
いざ困ったら、誌面を見て、文字数をカウントすればよろしい。

その昔、原寸のわかりやすいラフに対して、「デザイナーが仕事をしなくなるからだめ」と言う方がいて、
それを聞いたときには言語道断で怒りを覚えました。
デザイナーを見下しちゃあいけませんよ。
きちんと入る・成立するサムネールを渡して、そこで初めてデザイナーの旅は始まるのです。
話を聞けば、「デザイナーが仕事しなくなる」と言った方は、
サムネールどおりにしかデザインが上がらないデザイナーさんと仕事をしていたそうです。

でも、緻密なサムネールを見ると「やりにくい」とおっしゃるデザイナーさんがいるのもまた事実。
……サムネールだもの、定規なんて使わなくていいと、わたしは思います。
わたしはフリーハンドで、4Bくらいの鉛筆またはシャープペンで、のびのび線を描きます。
どのくらいのびのびしているかというと……
たまにタクシーの中で、ぎゃ~~っと描いているくらい、のびのびしています(^_^;)
『赤いろうそくと人魚』の人魚が、最後のろうそくを赤く塗りつぶしちゃったような慌ただしさです。
……わかるかな?

けっこんぴあ休刊によせて

2009年3月17日 (火)

「けっこんぴあ」はたくさんの式場さんやホテルさんに支えられて存続してきた媒体でした。
ご出稿いただいたり、無理な取材にも快くご協力いただいたり、お声をかけていただいたり。
ときには粗相もございましたが、可愛がっていただきました。
会場のみなさんあってこその媒体だったと思います。
関わってきたひとりとして、
みなさん、16年にわたる長い間、どうもありがとうございました。

さて、2月には関西で、そして3月には関東で、けっこんぴあのスタッフ「感謝のつどい」が催され、両方に出席させていただきました。
集まって下さったスタッフ……カメラマン、スタイリスト、ヘアメイク、イラストレーター、ライター、そしてデザイナー、印刷所
……
お一人おひとりの顔を見ると、ホッとするというか、
大きな家族のような気がしました。勝手な印象です。すみません(^_^;)
編集者にとって、スタッフは宝物。
みなさんがいてくれたから、ここまで歩いて来られたのだというのを
あらためて実感して、胸が熱くなりました。頼ってたなぁ。
自分では絶対できないことを、みなさんがきれいなかたちにしてくださる。
「ほら」と最初に見せていただく仕事の美しさ。
今までも感動したけれど、これからもきっと、見せていただくたびにぐっとくると思います。
すごいものをどんどん見せてくれて、ありがとう。大好きな瞬間でした。
そう。ものすごくノリノリで仕事をしたこともあれば、
ときには険悪になりながらも、なにがいいのか、どうすればいいページになるのか
模索したこともありました。
みなさん、ほんとうに、媒体のことをちゃんと考えてくださったなぁ、いつも。
そんなみなさんとともに、ひとつの媒体を続けてこられたことを、あらためて幸せに感じました。
今までありがとうございました。
かたちは変わるけれども、これからもどうぞよろしくお願いします。
どんな山河を越えても、みなさんとずっと仕事がしたい。

そして、貴重な機会を与えて下さった、版元に感謝。
信用して任せて下さったこと。大阪から東京へと強引な展開を認めて下さったこと、
いつも新しいことに挑戦する機会を与えて下さったことに感謝します。
編集ページまでちゃんと見てくださり、善し悪しをはっきり伝えてくださって、力になりました。
大きく育てていただきました。
長きにわたりありがとうございました。まだまだ恩返ししないと(^_^;)

それから、ゼロハチマルのスタッフたち。
クオリティを保つために、恒常的にムリをかけてきました。
バックであなた方が守ってくれて、支えてくれたから、外で思いきり立ち回ることができました。
泣きながら、怒りながら、それでもちゃんとついてきてくれてありがとう。
内山真李をつくっているのは、あなた方だとも思います。
みんなをとても誇りに思っています。


さあ。

たくさんの感謝と思い出を携えて、いよいよ卒業です。
春ですから。
次、がんばっていきましょう!

と思ったら。

カメラマンの中村年孝さんから、編集長経由で、つどいの日の写真が届きました。

すごく素敵な写真でしたので、転載させていただきます。

場所は、たいへんお世話になった明治記念館さんの「若竹の間」。

結婚式の取材させていただいたなぁ……。グラビアの撮影もいっぱい。

こちらで撮影させていただいたいくつものシーンを思い出して、感慨深かったです。

「けっこんぴあ 感謝の集い」の模様はこちらから
↓↓↓

http://picasaweb.google.com/IwanAtAsahiyama/20090313_KekkonPIA_Party?authkey=Gv1sRgCPaKr8u78qT6Eg&feat=directlink

カメラマン中村年孝さんの「ハッピーフェイスフォト」はこちらから。

ライフワークで1万人の笑顔を撮影していらっしゃるそうです。

ゼロハチマルでは「ジャグリングができるカメラマン」として有名……。
↓↓↓

http://www.happy-face.jp/

イラストの発注

2008年12月 2日 (火)

イラストレーターにイラストを発注する場合の段取りです。

【選出】
媒体の合うタッチ、企画に合うタッチの方を探す。
「この方!」と思う人を見つけたら、デザイナーに相談してコンセンサスをとる。
※イラストレーターもカメラマンも、自分でストックをたくさん持っておくこと。
 こういうときは、この方にお願いしたい! というのは、どのスタッフも一緒。
※新規開拓も積極的に。玄光社の「イラストレータファイル」が活躍します。

【大まかな発注:スケジュールキープ】
まずはイラストレーター本人に交渉します。
スケジュール、内容(描くもの、点数など)、原稿料など。
お引き受けいただけるなら、デザインアップの日を伝え、ラフアップ、締め切り日を相談。
※まずスケジュール押さえるのがとても大事。
 ギリギリに発注しないこと! 編集者の可能性も狭まります。

【具体的な発注】
アップしたデザイン(イラストスペースがわかるもの)をメールやFAXで送り、
大きさを確認する。
複数依頼するときには、イラストスペースに合番をつけておく(原稿の点数も管理)。
タッチについても再度確認。
ラフアップ、こちらからのチェックバックのタイミング、本番の納品について確認。
※さまざまなタッチをお持ちの方がたくさんいます。「このタッチ」と指定すること。
※デザイナーとも「どんな絵?」「こんな絵!」というコンセンサスをとっておくこと。
※デザイナーによっては「先にイラストあげておいて」という方もいます。
 方法や段取りは、その都度デザイナーと相談を。
※描いていただくのに、資料が必要になることは多いです。イラストレーターが
 いちいち調べずにすむように、必要な資料はすべて編集が完璧に揃えます。
※ラフ(FAX.かメールか)、本番納品(宅配便か、直接手渡しか、メールか)の状況を確認しておく

【ラフアップ】
受け取ったら「いただきました」の連絡をすぐに。あなたの感想をすぐに伝えるのが大事。
メールならメールで。FAX.なら電話で。

デザイナーや編集長にまわし、確認をとる。

まとめてすみやかに連絡。
基本は24時間以内にお返事を。
リクエストがあったり、修正があるときは、ラフに書き込んで戻すほうが確実。
ごく簡単なもの以外は、電話だけのお返事は避ける。

※最終納品が原画の方は、ここでデザイナーにアタリをとってもらう
※データの場合は、仕上がり(最終納品)をデザイナーにデータわたし。アタリをいれていただく。
※入稿前、デザインにアタリを入れてもらうのが、そりゃベスト。
※遅くとも初校戻し時に、アタリが入るようにしておきたい(もちろん、現物もこのときに合わせて入稿)

【納品】

【そのほか、ひとこと】
※イラストの入稿校了は避けたいところ。印刷の色味を見ないことには、不安ですから。
※「ラフアップから納品までは何日?」なんて疑問は無粋です。
 イラストレーターさんのスケジュール&編集者の持ち時間に合わせましょう。
 とくにイラストレーターさんの仕事の運び方は十人十色です。
※なかにはごくまれ~~~に、「仕上がらない方」「いなくなる方」がいらっしゃいます。
 そのときに慌てないように、スケジュールを組むのが編集者。
 ことに、初めてお仕事をお願いする場合には、その方のクセがわからないわけですから
 気をつけましょう。まれに、そんなこともあります。
※「アタリ」は、イラストの場合なら、プロポーションを指します。アタリを入れることで、印刷所がアタリどおりの指定位置に、指定の大きさで入れてくれるわけです。

【返却】
原画は必ず本人に返却すること。
印刷所から戻ってきたらすみやかに!
水濡れ・折り曲げ厳禁。ていねいに扱い、発送すること。原画は財産です。

★「アタリ」という言葉は深いので、また今度。
イラストアタリ、写真アタリ、ケイアタリ、アタリケイ、ケヌキアワセ……いろいろありますね(ちょっと懐かしい方もいるかもしれません)。
次回ゆっくりお話しましょう。

校正マニュアル

2008年9月 1日 (月)

最近、のんちゃんには後輩ができました。
後輩みかちゃん曰く、「ブログで拝見していて、どんなに頼りない人なのかと思ったら……驚きました」。
そう。のんちゃんは日々成長。

その成長ぶりたるや、伸びる音がきこえるかと思われるほどです。
後輩指導も、かなりしっかり、細かいです。小姑感、なかなかいいです。頼りになります。
仕事、ちゃんと覚えている証拠ですね(*^_^*)

さて、今回は基本の「き」の字、校正のレクチャーとまいりましょう。
もうわかってるもん、という人、ほんとかな?
今一度、初心に立ち返り、確認しておきましょう。

○用意するもの
校正紙、原稿、赤ペン、青ペン、鉛筆、定規、マーカー
統一表記表、国語辞典(弊社は岩波)、記者ハンドブック(共同通信)

校正には2種類あります。
「突き合わせ校正(引き合わせ校正)」と「素読み校正」。

【突き合わせ校正】は、
もとになる原稿(再校の場合なら、初校戻しの校正紙)と出校してきた校正紙を1文字ずつ付き合わせて、
 ①朱書きが反映されているかどうか
 ②朱書きを入れていないのに、勝手に変わっていないか
を確かめます。
朱書きが反映されていたら、そこにマーカーでチェック。
引き出し線の引き出された場所と、修正文字、両方にチェックを入れるのが確実です。

突き合わせのポイントは、「文章を読まないこと」。
原稿の文字と校正紙の文字を見比べて、
指示通り修正されているかどうか、勝手に変わっていないか、あった文字が抜けて(消えて)いないか、
マシンと化して、穴のあくほど眺めること。
とてもマクロな校正が、突き合わせ校正です。
校正は、これだけではもちろん不十分。

【素読み校正】
文章を読みながら、誤字・脱字・文章の狂いや揺れ、統一表記の不統一のほか
デザインの狂いを見つけて、修正するもの。
突き合わせのあとに行うのが通常です。両方できて、ようやく校正完了です。
 
①まず普通に、頭から終わりまで、通して読む。
 ②データ部分、小見出し部分だけをまとめ読みする
 ③写真だけ、色だけを見る。全体のズレを見つける
 ④コーナーを通して見る(統一色、書体の間違いを見つける)

以上の4工程がだいたいの基本。
②③④の工程で、かなり精度の高い校正ができるようになります。
とくに情報誌は、情報記載の統一が命。②の作業は欠かせません。

発見した誤植はどんどん入朱しますが、
疑問が生じたとき、ページ担当者に相談すべき問題は、付箋にその旨記入し、添付します。


【色校正の写真校正について】は、
写真(イラスト)の色味の再現をチェックする工程が増えます。
 ①必ず、原稿(この場合は写真)と突き合わせるようにして、色を確認

 ②写真を読む。フォーク・ナイフの左右は合っているか など
 ②版ズレしていないかどうか確認
 ③誌面のゴミ・汚れ・キズをチェックし、朱書き

写真を即物的に見る技術が必要で、原稿に難がある場合は、修正をかけることになります
(このへん、最近ラクなところです。写真の修正が、こんなに手軽にできちゃう♪)
 
○モデル写真なら、白目のにごり、シワ・シミ、メイクのニュアンス、肌色の加減など
 ○ホテルの空間コーディネートもの写真なら、クロスのシワ など
 ○料理なら、おいしそうに見えているか、シズル感はあるか

印刷所はとても優秀なので、
朱書きひとつで魔法のようにきれいに仕上げてくれます。ありがたいですね。
いつも助けていただいているので、足を向けて寝られません。


さて 
【現実的にもう一歩。たとえば某情報誌の初校の場合】
○FAX.で回収した、先方確認の戻りを入れる
 ★なお、先方確認の入朱は、必ず2人以上の目を通すこと。
 イタ電(電話番号表記は、ゲラで見たらその場でダイヤルする、くらいに
 取り組みましょう)、URLチェック(これも実際、入力してたどり着くかどうか)、
 情報ページとの店名統一および掲載ノンブル確認……以上はすべて、マーカーで印入れ


○素読みで回し読む
 ★数字表やグラフがあったときは、必ず電卓を入れて検算
○外注校正者の朱書きを反映する
○デザイン校(デザイナーの校正)を反映する
○編集長チェックを反映する
※以上の工程は、必ずその都度、各ページにサインを入れる


○編集長チェックを添付の上、最終で最終責任者(内山ね)に提出。
 チェック後戻されたら、内山からの付箋(疑問出し)解消後
 さらに内山へ……などの手順です。
 このとき、付箋ははずさないこと!(わからなくなるからね)


○最終、印刷所宛の表書きに、申し送りなどを明記

【校正記号 入朱時の注意】
もっとも大切なことは、印刷所のオペレーターがわかりやすいように
誤読を招かないように朱書きを入れること。
人に伝えるためのものだということを忘れないように。
修正するのは人の手です。そのオペレーターの気分がよくなる赤字を入れること。
※横暴な書き方は避ける
※校正記号は『校正ハンドブック』『編集者必携』などを見て。

○かならずトンボを入れる
○朱書きはていねいに書く。
○引き出し線は字間を縫って、極力文字をつぶさずに引き出す。
○右詰、下詰め、“ここまで1行に”は指示入れをする。ただし、朱書き以外の補足文字にあたるので、青または鉛筆で記入する。赤字は朱書きのみ。
○トルツメ トルママなどの指事文字は、修正文字よりも気持ち小さく書く
○ほかの校正(デザイン校など)転記の際、わからない言葉は、意味を調べて納得した上で記入する。



余談
わたし自身は、高校時代に、校正の通信教育を受けました。
なぜ受講したのか、いまだに不明。将来絶対使いそうと思っただけ。
級数計算ができなくて、卒業するのに難儀しましたが
今振り返ると、なかなか勉強になりました。
だからたしか「4級」もってる……英検の4級並みに役に立ちません。

いちばん役だったのは、先輩の入朱した校正紙です。
編集の仕事を始めたての頃、とても素敵な朱書きを入れる先輩が、処分しようとしていた校正紙をもらって、
マネして朱書きを入れていました(5年間くらい、宝物にしてました)。

「ああ、きれいだな」と思う朱書きの仕方ってあるもんです。
それを目指すのがいちばんの上達術かと思います。

あとは経験。
そのうち、ワンセンテンス眺めたときに、「絶対おかしい」とわかるようになってきますからね。

「記者ハンドブック」。勉強のつもりではじめにあると安心。

編集者の宝物

2008年7月 3日 (木)

宝物はずばり、スタッフです。
一緒に仕事をしてくれるクリエーターたち。
デザイナー、カメラマン、イラストレーター、スタイリスト、ヘアメイク、モデル、ライター……
彼らなくして、我々は成り立ちません。
彼らがいなければ、我々は丸裸の能なしです。
編集者ひとりでは雑誌をつくることは決してできません
あなたの思うものを、思う以上のかたちにしてくれるのが、クリエーターです。
ちょっと乱暴ないい方をすると

編集者の究極の仕事は、彼らのために動くこと、といっても過言ではないほどです。

あなたが彼らをリスペクトすることが、いちばん大事。
すべきことはそこから見えてくるでしょう。

まず、
彼らが動きやすいように段取りすること
彼らが120%自由に動けることを目指して、編集者は仕込みをすべきです。

デザイナーになら、やりたいことがきちんと伝えられるサムネールを仕上げて渡す。
カメラマンになら、いい環境を整え、情報を開示し、撮影の用意を怠らないこと。
彼らがより自由に動けるように仕込み、現場で立ち回ること。
撮影現場であなたがやるべきはカメラマンのフォローです。
たいていは取材相手があることですから、ややこしいことはすべて自分が引き受けるつもりで。

イラストレーターなら、描いてほしいイメージをきちんと伝えること
誌面の状況、イラストの大きさ、周囲の色、場合によっては細かな資料も必要です。
彼らが120%自由に仕事ができたら、それはそのままいい作品(誌面)につながっていくでしょう。
だから、
彼らの仕事のクリエイティビティのために自分が動くことを
惜しんではいけません。それが編集者の大切な仕事です。

仕上がりを受け取ったら、まず自分の感想を伝えること。
上の人がどう判断しようが関係ありません。いいと思ったらいいと相手に伝えるのが大事。
彼らはあなたと仕事をしたのですから、あなたの感想がまず聞きたいはず。
もちろん「あれ、こんなはずじゃなかった」ときは、その旨きちんとお伝えしますが
NGを出すときは、十中八九こちらにも責任があるときです。
なにか、伝え方を間違えていなかったかをまず省みるべき。気をつけて。

スタッフクレジットには細心の注意を払うこと。
名前のヌケ、表記間違いはもってのほかです。
編集のギャランティは広告に比べて驚くほど安いのです(そして我々のギャラも安い。残念ですが)。
その代わりにあなたは
世の中のすべての人に、お願いしたクリエーターの名を知らしめる義務があります。
クレジット表記は安いギャランティの代わりとして、
あなたが責任をもって確認しないといけないことです。

わたしが若い頃に、初めて上司に噛みついて離れなかったのも、クレジット問題でした。
花博の催事広報誌をつくったときに、上司から「ノークレジットにする」と言われたのです。
会社間の問題があったようでした。
でも、こちらはクリエーターへの責任があります。
「抜くなら辞める」くらいで噛みついたかと思います。あれは、編集者半年目のことかな。

編集者が守らなくてはならないのもクリエーターです。
少ないギャランティだけれども、滞りなく支払うように細心する。
もしもクリエーターの立場が悪くなるようなことがあれば、フォローに入る。
仲裁する。
基本です。
絶対に守ってあげてください。おそらくは、その気持ちが大事なんだな。

そして
自分のとっておきのパートナーを見つけることです
自分のイメージするもの以上仕上げるためには、この仕事ならこの人にお願いすべき……
それがパートナーです。
かっこいい本にしたいからこのデザイナーさん、ユルい本ならあの方かな、とか。
女の子を空気感ごと撮影してほしいならあの人で
花嫁さんをきれいに現場で撮影するならあの人、
的確に商品写真をお願いするあの人、
料理を最高においしそうに撮ってほしいからあの人……
スタイリストも、ヘアメイクも同じです。

今はまだ、年上の人ばかりで気後れするかもしれません。
けれど、今のうちから大御所とおつきあいできるのは、むしろ貴重な体験。
おつきあいを楽しんでください。かわいがってもらえるように。
いつかあなたがクライアントになる日がくるのですから。

自分の若い頃を振り返ると、
同年代の駆け出しのカメラマンで腕のいい方を、貪欲に発掘していました。
で、一緒に成長してきたと思います。
この人の写真が好きだと思ったら、とにかく世の人にアピールしたかったし
大きな写真を撮ってもらうように仕掛けたし
クレジットの級数を上げるように努力しました。
そのへんは、互いにもちつ、もたれつ。
写真に限らず
いいもの・才能を見抜くのも、編集者として大切なことだと思います。


その目を養うためには、とにかくいいものをたくさん見ることです。
「写真がわからない」のであれば、とりあえず
「コマーシャル・フォト」あたりを立ち読みしてみてはどうでしょう。
イラストなら「イラストレーションファイル」。いずれも玄光社刊。
ヒントがたくさん隠れています。
またクリエーター自身に教えていただくことも多かったです。
ま、今もずっといろいろ教わっているわけですが。

わたしも日々いろいろ情報を仕入れるわけですよ。
のんちゃんたちのみずみずしい感性に、ひょいと追い越されないように。

ホスピタリティ

2008年7月 2日 (水)

「ホスピタリティ」という言葉はみなさんよくご存じでしょう。
うちはホテルの取材が多いから、ホスピタリティとファシリティ、2日に1度は書いていませんか。
ホスピタリティ=客のもてなしのよいこと ※手持ちの自由国民社カタカナ外来語辞典より
このホスピタリティ、なにもホテルの専売特許じゃありません。
編集の仕事のうえで、ホスピタリティを発揮していますか?

相手に言われたことを、そのままやるのは超基本です。
さてその上で。さらに一歩先。
相手が望むことを察して行動を起こすことだったり、
相手が少しいい気分になれることをプラスしてみたり
楽しくなれることをちょっぴりプラスしたり
場の空気をやわらかくしたり
それらすべてホスピタリティといって差し支えないでしょう。
相手を大切にしている気持ちを、上手に伝えられることといってもいいでしょう。

編集者というのは、基本ホスピタリティが信条であってほしいと思います。
(流儀が違う人もいるでしょう。それはそれ。おいといて、ね。力量勝負の編集者なら、それもありかもね)
対スタッフであったり、対版元であったり、もちろん対取材先であったり、
対象はさまざまです。
しかし、あなたが触れる相手みな、あなたと接したあとで、快くなってほしいと思います。
かくいうわたしもまだまだまだまだですけれどね。目指したいところです。

同じレベルの仕事をする人がいるのならば、だれもが気分がいい相手と組みたいに決まっています。
そして、あなたと同じ仕事ができる人は、ごろんごろん世の中にいるはずです。
あなたでなければいけなくなる理由があるとすれば
プラスαがあるかどうか。
それがホスピタリティに代わります。

この話はどんどん広がりますから、追々お話していきましょう。

写真を読む!

2008年5月11日 (日)

先日、Wちゃんが仕上がった写真を持って、ややホクホク顔でわたしのもとにやってきました。
この撮影は、撮影前にデザイナーさんも一緒に打合せしていて、かなり楽しみだったもの。
ワインをグラスについだ写真だけど、「高級感ではなく、カジュアルでとっつきやすい感じを出したい」というのが、Wちゃんのこだわり。
むしろ高級感を出すのなら話は早いのかもしれず、かませるもの(一緒に撮影するもの)……たとえば、グラスとかテーブルクロスに高級品を使えばムードは醸し出せるわけで、
リーデルのグラスと、ウェッジウッドあたりの白テーブルクロス、それに1本1000円くらいのバラの花をあしらえば、もうベタに完璧。
あとは5灯くらいでの巧みなライティング(照明)で、光り輝くような透明感を出せば、ね。

ところがWちゃんがしたかったのはそうではなく、カジュアル感のある肩ひじ張らないワインのビジュアルづくり。
高級路線ではないところを狙いたいといいます。おもしろい。でも、ムズカシー。
デザイナー氏も一緒に話をして、ようやくまとまりました。
「じゃあ、ユルく撮ろう。ユルカワで、『クウネル』の線でね!」と、見本の写真を見ながら盛り上がっていました。
「Wちゃん、バックは生成りがいい。布の目は粗くていいよ~。麻か綿かな」とわたし。
デザイナーさんとも、ああ、これならきっとかわいいと納得。
ハイタッチせんばかりに盛り上がっていました。
トラットリアとかブラッセリーのお手軽ワインのムードで撮影、というわけです。
成功すると、かなりかわいいはずです。


で、その仕上がり。持ってきたときのWちゃんの顔から拝察するに、
きっと撮影は成功のはずだったんでしょう。
しかし、その写真を見ると……わたしの想定外のものがそこに。
「誰がこんな撮影しろっていったっけ?」と、声も低く、怒りで震えます……。
そこにはすごくきれいに撮影した、普通のワインの写真がありました。
「オーダーしたんとまったくちゃうやんか!!」
美しい写真です。充分にきれい。広告写真としていけそうなほど。
でも、オーダーはこうじゃなかった。ユルくてかわいい、ナチュラルタッチの写真です。
飾らない空気感が絶対に必要でした。
ピンは浅めで、ふんわり、ざっくり、飾らない暮らしの強さ・美しさ。
それが編集的な意図でしたから。普通に美しいワインの写真ではだめだったのです。
それがもともとWちゃんの意図でもあったはずなのだけど???
いつから変わったんだよっ。

こんなとき、普段だったら速攻で「再撮!」ですが、写真があまりに見事にきれいだったので、
デザイナーさんにお詫びし倒して、方向転換することに……。
最終的にはすごくきれいなページになりました。撮影のアクシデントなんて、きっとだれも気づかない。
それでいいんですよ。編集者は丸く収めるのが仕事ですから。
しかし、これはあきらかに敗北です。

では、今回のWちゃんの敗因をまとめてみると。
 1 「クウネル」っぽい写真と言われて、そのタッチがわかっていなかったこと
 2 その場で見本の写真を見ているにもかかわらず、その写真を解析できなかったこと
写真を読む力に欠けていたといわざるを得ません。残念だね。


編集者たるもの、特徴のある雑誌の写真のタッチくらいは、把握しておきたいものです。
「クウネル」ぽい写真、「ダンチュー」ぽい写真、「ミーツ」ね……とか、
認識しておきましょう。
さらにそれはデザイナーやカメラマンとの共通言語にもなります。
散漫に本を見ないこと。雑誌は商売道具ですよ、意識してください。

「2」についても同じこと。
まず、電車や駅貼りのポスターを見たら、撮影の仕方をかならずシミュレーションして下さい。写真の分析も。

たとえば
角版か、切り抜きか。
自然光か、スタジオ撮影か。
スタジオなら、照明は何灯使ったと思う?(影をチェックすればわかってきます)
商品はどこに置いて、カメラ位置はどこから?(レンズまで察しがつけばすごい!)
ピントはどんなふうに合わせてあるか。
全体にまんべんなく合わせてあるか、ゆるめに絞っているか。

最近のモデル写真なんかは、目だけピントで、鼻はすでにぼけているものなども多いです。
ゆるピンはちょっとしたブームでもあります。
料理もワンピン(1か所にピント、あとはぼかす)全盛期。
印象やムードを伝えるなら、ピンのゆるい写真。
逆に、バッチバチにピントがきた写真は、硬質でクールなイメージ。追随をゆるさない力強さがあります。
商品写真の場合なら、被写体そのものの力を使えることができます。

年齢でいえば、若い人の好みはピンのゆるいやさしい写真
年齢の高い人は、しっかりピンのきた安定感のある写真のほうが好まれる傾向にあります。

店内や、バンケットのコーディネートなどの空間を撮影した写真を並べても、
画角が新しい写真、古い写真があることがわかりますか?
わからないという人、5枚くらい空間の写真を並べて、
写真を読んでみましょう。
編集者は、写真を読むことが大事です。文章といっしょです。
数を見ることでわかったくると思います。
あと、丁寧に見ることです。
裸眼で見てわかった気にならず、ルーペでちゃんとチェックすること。
中心だけ見ていてもだめ。隅々まですべて見ること。
データなら、PCで画面確認をすること。

雑誌を意識的に読む話はしましたが
写真の勉強するのなら『コマーシャルフォト』あたりが役立つと思います。
そして、現代の流行の写真や自分の好みを、わかるようになってほしいと思います。

それでも写真の読み方がわからないというあなた。
直接お問い合わせ下さい。レクチャーしましょう。

手みやげ・差し入れの選び方

2008年5月 4日 (日)

今回はエリーのリクエストから、お応えします。手みやげについて。
たしかに、編集者と手みやげは、切っても切れないものですから。

もう5年ほど前のことになりますが、
社内の某さんが、取材先へのおみやげにモロゾフのプリンを持って行ったと聞いて
わたしが激怒したことがありました。
それでは食のセンスがなさすぎる。
モロゾフのプリンは確かにおいしいです。わたしも大好きだもの(とくにカスタードプリン)。
でも、いい大人が、大切なときに、大切な人へ持って行く手みやげではありません。
手みやげにも、TPOや、「晴れと穢」があります(はい、読めなかった人は辞書を引くこと)。
その話をしたときに、みんなきょとんとしていましたが、
百戦錬磨の今ならば、どういうことか、もうわかるでしょ?

手みやげはこちらの思いを伝えるものでもあるのです。

というわけで、手みやげ名人を目指して、用意の仕方を指南します。

○ まず、晴れの品でいくか、肩ひじ張らないものを選ぶか。メンバーと場所を考える
お持ちする場と相手によって、晴れのものを選ぶか、肩ひじ張らないものを選ぶか、まず考えて下さい。
大きな撮影でスタッフを迎えるときは、話題をとれるくらいの手みやげが必要。
逆に、いつものメンバーでのいつもの打合せなら、肩ひじ張らないもののほうがいいのです。相手も気を遣わずにすみますから(でも絶対おいしいものにすべき)。

○その場所であけるものか、差し上げっぱなしになるものか
想像力が大事です。
その場であけることが前提ならば、食べやすいものが絶対。
差し上げるものなら、そのあと先様がどなたとどういう状態で召し上がるか。
多少は食べにくくてもいいのか。やはり食べやすさが問われるかどうか。

○なにを選ぶか
撮影時のお菓子も、取材時に持参する手みやげも、まずは何人で食べるかを考えます。
ものにもよりますが、たいてい1人1個はゆきわたるようにしたいですね。
できれば2個まわるといいかな、的に、このへんはケースバイケースです。
で、品物のセレクトです。

1 あったら喜ばれるもの
  夜の打合せで、みんなお腹が減ってるからおにぎりとか、
  しゃっきりするようにおいしいコーヒーにしとこうとか
  で、本来はコンビニものは不可。からだにやさしく、おいしいものが基本。
  3分ですから、髙島屋に走るべし。
  

2 相手の好物
  あの方は○○がお好きだから、とわかっている場合。
  ブランド指定のときもあるし、あんぱんがお好きだとわかっていたら、
  とっておきのあんぱんを仕入れておくとか
  

3 季節のもの・話題性のあるもの

  季節限定の菓子など、希少なものはアリ。
  また、そこから話題の広がるものもアリ。

4 自信をもって持って行ける銘菓
  先様の好みが不明の場合は、自信をもってお持ちできる品にします。
  よくあるものじゃいけません。多分に珍しくて、おいしいもの。
  「困ったときにはコレ」的な、自分のキメの品をストックしておくといいでしょう。
  わたしは日頃から、スクラップ作っていたなぁ。いざというときのお菓子スクラップ。
  雑誌見て、よさげなものをファイリングしていました。
  
  例)お菓子の家ノアの「窯出しチーズケーキ」 阿佐ヶ谷うさぎやの「どらやき」
  新潟からお取り寄せの「豆餅」とか…… 百貨店では揃わないもの。
  お持ちする日に合わせてお取り寄せしておくとか。
  本来は、路面でいい店があると、幅が広がります。
  名物のコロッケとか(気心知れた先にアツアツを。喜ばれます)、
  夏なら老舗のアイスクリンもなかとかね。同様に老舗のレーズンサンドとか……。
  共通項は、おいしくて、小分けで食べやすいこと。
  
そこまではできなくても、髙島屋でも(社外の方、すみません。最寄りの百貨店としてお考え下さい)、先様によって通用するものは多数アリ。
先様の出身地などを考慮して選びます。

5 飛び道具
  季節の果物。ただし、打合せや撮影時には、食べやすいものに限る。
  イチゴならヘタとって、くらいの気遣いが必要です。
  差し上げっぱなしのものなら、旬のもの、相手の好み、質で考えます。

▲やってはいけないこと。
1取材先に伺うときに、そこの近所で購入した○○。手みやげはわざわざ用意していくものですから、伺った先で「安易になにか」を見つけるのは絶対にNG。

2先様がとびきり好物ではない場合は、その方がよくよくご存じな品をお持ちするのはNG。ただこちらがものを知らないだけというのは、悲しすぎます。
例) 関西人に「アンリシャルパンティエ」の焼き菓子もっていくとか、「ケーニヒスクローネ」買っちゃうとか(←いずれも関西の超有名ブランド)。関西人に「つばらつばら」(「鶴谷吉信」も関西ですからね)。
関西人に「つばらつばら」持ってくくらいなら、「舟和」の芋ようかんのほうがまだ許されるわけです。
百貨店で選ぶときは、とくに要注意。ぜひお店の方に伺うこと。

○ 予算
一般的には3000円程度でしょうか。
もちろん、相手の人数と状況、おつきあいの程度によって、予算は大きく異なります。
わからないときはその都度確認してください。

手みやげが大事なのは、ひとつに、こちらの気遣いが表れるものだから。
もうひとつは、おいしいものを口にすると、それだけで人は笑顔になれるからです。
少々難しい局面を、手みやげで乗り切れることもあるということを覚えておきましょう。

手みやげにはセンスが出ます。
情報と自分の舌(自信がなければ先輩に教わって)で、いいセンスを培って下さい。

クレーム対応

2008年4月27日 (日)

「……ブリュレ!」と想像したあなた、間違いです。クレーム違い。

今回は、対外的なヘマをしたときのフォローについてお話しましょう。
取材の対応が気に入らない、スタッフの態度・対応が悪い、誤植……etc.
想像するのもいやなことですが、
人間だもの、思わぬミスはかならず起きてしまいます。
ただ、そのあとの対応次第で、許される場合・許されない場合の明暗がわかれます。
対外的なヘマは、むしろあなた個人の問題ではありません。
会社の責任になり、媒体への非難となることを覚えておきましょう。

たいていの場合、よくないことは電話でやってきます(最近ではメールのこともあるかもしれません)。
もしも、あなたが不幸にも、直接の担当者不在のときにその電話をとってしまったら
まずは謝ること。
たとえ自分のやった過ちではなくても、
その電話をとったあなたは、先方からすると確かに関係者なのです。
「自分の担当じゃないからわかりません」はもってのほか。怒りを増幅させますから。
関係者のひとりであるという認識をしっかり持ってください。


クレーム・対外的ヘマの場合の今後の道筋は
 
1怒りを受ける 
 2謝罪 
 3場合によっては理由を話す 
 4今後の対応策および改善策を提案する 
 5いったん収束させる 
 6以前の関係よりも深い関係を再構築する

となります。

こうしたときのあなたの誠実な対応こそが、この緊急事態を収束させるし、
打開できるのだということを忘れないこと。
先方にとっての誠実な対応とはなにか、常に念頭に置きます。

ことが重大な場合、またはあなたの対応が悪かった場合は、「2」「3」あたりで
「上司・責任者を出せ」になります。
ここまでいったら、もうあなたの手には負えませんから、すみやかにバトンタッチします。
ベストは、
「申し訳ございませんが、ただいま外出しておりますので、いったんお電話を切らせていただいて、連絡をとり、00分後にご連絡差し上げるようにします」でしょうか。
ここも臨機応変ですが、こうしたほうが、電話を切ったあとにじっくり善後策を練ることができます。
あなたから上司・責任者へ、ことの敬意を説明してからのほうが、上司はよりよい傾向と対策をたてることができるのです。
ただし、ベストは、あなた自身が収束させること、と、覚えておきましょう。
上司は、あなたの不備を詫びるのも仕事ですから、ここは気にしなくても構いません。
先方へのコールバックは、時間をあけすぎないこと。
思いのほか、外にいる上司につながらないときは、「もうしばらくお待ちいただけますか」と、先方への電話も必要です。



1怒りを受ける
先方が怒っていらっしゃるときには、しっかりその怒りを受け止めること。
これがクレーム対応の第一です。
電話であることが多いと思います。人は面と向かって相手に怒るのは難しいのです。
電話では比較的たやすくなります。
このとき、相手の怒りをよく聴くこと。話は決して遮らない。申し開きと言い訳をしない。これは鉄則。
まず相手の怒りの感情を思いきり吐き出させるのが大事です。
ここでは「怒られまくる」のが正解。

※ ここで大切なのは、怒りの理由を正確に把握することでもあります。
実務的な損害か、心証不良による不快か、その両方か。そしてその程度は。
電話で謝ってすむ問題か、すぐに出向くべきか。
謝ってすむ問題か、補償問題に発展するか。
もちろん目指すのは、謝ることですませていただくことです。


2謝罪
相手の怒りが正しいとき、つまりこちらに不備があるときは、きちんとお詫びをします。
「すみませんでした」はお詫びになりません。
謝罪は「ごめんなさい」か「申し訳ございません」が基本。
「ご迷惑をおかけしてたいへん申し訳ございません」
「こちらの配慮が欠けており、申し訳ございませんでした」など


3場合によっては理由を話す
ここはほんとうに難しいところですから臨機応変に
ミスした理由があまりにもお粗末なことなら、先方へ話さないほうがましなことは多いもの。
また業務上の理由で、お話してはならない場合もあるでしょう。
また、こちらの都合をそのまま話したところで、先方の怒りを増幅させてしまう場合もあります
(この場合は「1」に戻る。1→2→4…… への展開を目指します)。
ただ、先方は「なぜ?」が聞きたい場合も多いのです。
聞きたいのですが、その理由が「それはそっちの都合だろ!」的なことだったりすると、
火に油を注ぐことに。
言葉を選んでお話しすることです。


【飛び道具:先方へ伺う】
自分のことを振り返ると、「1」「2」でややこしくなった相手先のもとには
速攻で伺うようにしています。
これがもっとも収束させるのに早い方法だからです。
すなわち、お怒りを受けに出向く。で、自分で収束させる(ただし、このとき、責任者への報告を忘れずに)。
時間の経過は短ければ短いほどいい。
とくに我々編プロの立場でなにかしでかしたとき、版元へ迷惑をかけるのだけはさけなければなりません。
もちろん、報告はするのですが、ことを収束させてからでないと、かっこわるいでしょ。

版元に飛び火。これは最悪のシナリオです。
残念なことに、対応のまずさひとつで、簡単に火は広がります。

さて、先方へお伺いすることで、こちらの誠意を示すことができます。
また、面と向かって怒るのは、人間、非常に難しいということもあります。
つまり、許していただきやすい。
ですから、怒りが強ければ強いほど、出向いていくのがじつは正解。
起きているトラブル、そして相手から逃げないことです。

○できればすぐに伺う → スピードで気持ちを示す
 かならず、3000円程度のお詫びの品をお持ちする
 (渡すときは、紙袋から出して、品を渡すこと。紙袋のまま渡すなよ!)。
・ 
○先方の都合もあり、翌日に伺う場合は、
 服装を整える。準喪服! くらいの気持ちで、地味な服装がベスト。
 お詫びの品持参も忘れずに。


4 今後の対応策および改善策を提案する
先方へ伺う場合もそうですが、再発防止策を必ずお伝えします。
なにかミスをしたときには、かならずこれを考えるくせをつけましょう。
たとえ対外的なものでなくても。
ここから進歩が始まります。

ややこしいときは、ここで補償問題に発展することも。
もはやあなただけの手には負えない段階です。周囲に判断とフォローをゆだねます。


5いったん収束

6以前の関係よりも深い関係を再構築する
じつはこれがいちばん大事。お詫びの最終目標はここにあります。
トラブルのあった相手とは、以前にも増して、仲よくなるチャンスです。
まず非礼はきっちりお詫びする。
だれでも過ちがあるのは、先方もわかっています。
そこでの謝り方ひとつで、「やっぱりあそこってサイテー」にもなるし
「誠実な対応だから大目に見るか」にもなる。
すべてはこちらの出方次第です。
相手に通用するお詫びができたら、信頼関係をつくる大きなチャンス。
台風が去ったあとも、相手から逃げずこわがらず、むしろお近づきになりましょう。
それでこそ、ピンチをものにしたことになるのです。


【メールでのクレーム】
決して返信でお詫びをしないこと。まず電話をかけてお詫びをするのが基本です。
ややこしそうなら、お目にかかる。
お詫びをメールの文面にして残さない。
あなたが誠実に書いたつもりの言葉が、逆に相手を逆撫でし続けることもあります。
さらに、そのメールは、簡単にどこかへ転送されることもあるのだということを忘れずに。



なにか不備があって、こちらに怒りを表してもらえるのは、ずいぶんマシなのです。
それは、こちらに対する信頼が残っている証しですから。
怒りの感情をあらわにするのは、とてもエネルギーのいることです。
怒る労力をかけることを惜しみ、なにも言わずに、つきあいの一切を断ち切られる場合だってあるのです。
だからこそ、目の前の人が怒っていることに対して、謝る一方で、
敬意を忘れないでほしいと思います。

編集者的・グラビア撮影マニュアル

2008年4月 5日 (土)

グラビア撮影とか、大がかりな物撮とか、常日頃からさまざまな撮影が発生します。
今回はこのときの心構えについて。
グラビア撮影を例にとります。
企画を練って、ドレスのグラビア撮影するぞ と決めたところで以下がスタート……
★印は編集者本人が考えるべきこと。それ以外はアシスタントがすべきこと。


1 ★スタッフのディレクション
必要なスタッフは、カメラマン、スタイリスト、ヘアメイク、モデル。
スタイリストは企画(編集)とくっついていることもあるので、先に決まることが多い。
それ以外に、まず決定すべきはカメラマン。
決定したら、カメラマンに、ヘアメイクやモデルの相談を。やりたい相手、やりやすい相手がいるはずです。
どのスタッフも、発注時に、ギャランティをあらかじめ伝えること。
これは原稿やイラストの発注でも同じこと。先に金額をフィックスさせておくのが肝要。
※ 撮影はチームワークですから、スタッフの相性第一。これがコケると、いちばんしんどいのが編集者です。
※ じつは日本には古来、原稿発注時に原稿料をしらせないという慣例がありました。
無粋だからです(文士の時代のこと)。現代は先にお知らせするほうが喜ばれます。

2 1週間前にお昼ご飯の手配
撮影現場では、スタッフがおいしいものを食べられるように、
お腹をへらすことがないように、十二分に気を遣うこと。腹が減ると人はカリカリするもの。
おいしいものがあれば和みます。円滑な撮影のために、食事には細心の気遣いを。
お昼は現場で食べられるものがあればそれもよし、
ロケ弁になる場合は、1週間前に予約を(種類は3種類くらいを用意。当日スタッフが好みを選べるように)。場合によっては、朝ご飯の予約も(もちろん、メニューは変えること!)


※初めてのスタッフの場合、マネージャーに好みを聞いておくのも手


※ 現場の控え室に必要なもの(テーブル卓数・椅子の数・鏡・作業台など)は、1週間前を目安に、会場の担当者に確認を。

3 ★最低3日前までには、スタッフに本番撮影の詳細を紙にして伝える
日時/場所/集合場所と時間/現地の担当者/緊急連絡先/雨天の場合の対策
撮影スケジュール(降板表含む)
をまとめて書面にし、FAX.またはメール。

・ロケの場合は天気予報のチェックを怠りなく。雨天時の対策は完璧に。

4 現地への搬入物(直送品)は、撮影前日の午前中必着で指示。
かならず前日のうちに商品確認に行き、過不足内かどうかを確認。
不足や間違いを発見したら、その場でショップに連絡。対策を講じる。

5 前々日
撮影商品発送元に確認の電話。

6 前日

★①前日はスタッフと会場側に電話で最終確認。「あした、よろしくお願いします!」
   モデルは、モデル事務所に緊急連絡先を確認しておくこと。
  ②持ち物を点検、準備する
   編集作業用品:降板表(携帯しやすいようボードに添付)、筆記用具、セロハンテープ、パーマセル、

   ラフ用紙、カッター、はさみ、扇子(モデルをあおぐために)
   ※これらは撮影時、常時携帯できるようにする


   撮影雑品:▲はスタジオ撮影時には不要(スタジオにあるかどうかを事前確認)

   ・ お菓子…これ、最重要。目玉になる(話題性のある)おいしいお菓子をかならず用意。

    「目玉」はコンビニ品不可。百貨店または専門店で購入。そのほか、甘いもの・からいもの・アメを準備。

    小分けになっているものが使いやすい。
   ▲紙コップ…人数分の倍数は最低持参(パスタケースに入れるとつぶれず便利)
   ・紙皿…お菓子や朝食をわけるのに使う
   ・ストロー…メイクをあげたモデルが飲むときに必要
   ・ペティナイフ&ミニまな板…朝食のパンを切り分けるなど。あると絶対重宝
   ▲ドリップ式コーヒー(インスタント)・砂糖・ミルク・混ぜるもの
    そのほかティーパック式の紅茶・ハーブティー・日本茶など
    そろいがよければ喜ばれます。スタッフの好みに合わせて
   ・ お湯…会場側に準備の方法を聞いておく(飲み物用)。
   ・朝一はおいしいコーヒーを準備できればベスト
   ・飲み物…昼食を見越して準備する。お茶・水を中心に。10人だと2リットルで2~3本。夏場はさらに必要。
   ・カイロ…必携品。夏でも必ず用意する(夏場は薬局で購入可能)。冬は多めに。人数の倍以上は用意。
   ・ゴミ袋最低2枚…最低でも、燃えるもの・燃えないものの分別ができるように。当日は分別管理まで編集が完璧に行います。不十分だと会場に受け取ってもらえないことも。また、ゴミは持ち帰りを原則に。
   ・油性マジック…紙コップへの名前書き・ゴミの分別の明記など 
   ・ボールペン…宅配便の伝票書きな)
   ・ガムテープ…あらゆるシーンに必要
   ・ぞうきん3枚くらい…雨天時などに雨をぬぐう。撮影時に床の汚れを拭き取る
   ・ティッシュ、ウェットティッシュ…いずれもボックスで用意
   ※返却物がある場合は、礼状をあらかじめ用意
   以上は、キャスター付きのスーツケースなどに入れると、移動が便利

7当日 
〈服装〉動きやすいもので。撮影場所(ホテルやレストラン)によりGパンは控えること。

〈集合〉
待ち合わせの時間の10分前までには到着を。スタッフの集合は早いです。
編集がいちばんに到着しておくつもりで。スタッフを迎えられるように。


〈控え室で・朝食〉
控え室に入ったら、さっさと朝食準備。まずモデルになにか食べさせること。
手の空いた人からどんどん食べられるように、準備、支度、配って、片付けて。
※ 控え室のテーブルの上は、常時整頓されているように気を配る。
※ 控え室の施錠の担当になるつもりで、施錠・解錠に常時気配りを。
※ たえず誰かを手伝うつもりで臨むこと。控え室では主にスタイリストの手伝いを。
手が空いたら「なにかお手伝いします」の声がけを。

★ 編集者は基本、カメラマンと行動をともにするのがいいでしょう。
どの場所で撮影するか、どんなふうに狙うか、いつもカメラマンの相談役・味方になるように。
カメラマンを孤独にしないこと。

〈撮影中〉
★ 仕上がりの確認。画角の問題はセンスの問題。「どっちがいい?」と聞かれたら「こっち」と答えること。自分のなかで理由が明確であればよし。
★ 仕上がり細部に気を配る。モデルの髪のハネ、ドレスの裾、余計なものが映り混んでいないか、シワや胸のアキは? NGがないように気を配る。


~アシスタントの動きとして~
控え室から現場に移動したら、状況に応じて、真っ先に動ける態勢で臨むこと。
レフ板を持つ などが主な仕事になる。カメラマンやカメラマンアシスタントの指示を忠実に守る。

フィルム交換やアングル変更で少しの空きが出るときは、モデルのブーケを受け取っておく(ずっと持っているのはかなり疲れるので)。

モデルがぽつねんとしていたら、さりげなく話し相手になる。ただし、自分が「動く」仕事を優先させること。

カメラマンがてんぱっていそうなときは、飲み物の準備をさりげなく。

〈カット終了後、控え室で〉
モデルへの飲み物出し(ストローつける)

〈食事〉
昼食の段取りを率先して行う(弁当配り・お茶)。いかに効率よく食事をしてもらえるかが、その後の進行のカギになる。
手の空いた人から食べることがほとんどだか、進行上、モデルとヘアメイクを優先させる。
片付け・ゴミの出し方、完璧に。

〈撮影終了時〉
飲み物・食べ物を振る舞いながらも、効率よい完全撤収を頭に入れながら。
宅配便で発送する返却物は、礼状を入れ、伝票を書き、発送。精算。伝票をかならず手元に残す(問合せ番号が必要になることがある)

8 翌日

商品発送元に到着確認とお礼の電話
一報入れると、評価が違う。次回のためにもぜひ。


※ アシスタントは、全体を通して、だれよりも細かく動くことを心がけておけばいいでしょう。


編集者は縁の下の力持ち。撮影が始まれば、あとは優秀なスタッフのみなさんにまかせれば、いい撮影ができるもの。
とにかくスタッフを信じること。
きっと、想像以上にいいものができていくはずです。グッドラック!

デザイン入れ・サムネールの作り方・写真整理の仕方

2008年3月29日 (土)

どこにどのような写真を置いて、文章をあしらって、どんなふうに見せるか。

雑誌の誌面を作るとき、より効果的な誌面ビジュアルを作る・提案するのは、

エディトリアルデザイナーの仕事になる。

編集者はデザイナーに対して、「デザイン入れ」「デザイン渡し」「D入」といわれるデザイン入稿を行い、

企画の骨子と編集の思いを伝える。

そこからプロの立場で誌面の「見せ方」を考えるのは、デザイナーの領分だ。

○先割り? 後割り?

先行割引、の略ではありません。

誌面デザインの作り方には「先割り」「後割り」のふたつがある。

先割りは先にデザインを引いてもらい、その文字数に合わせて、文章をつくる。

後者はデザイン入れ時に本文などの文章を用意し、それらを消化するのを前提にデザインしてもらうこと。

デザイナーの力を100%発揮してもらうなら、先割りにすることだ。

後割りは、時間がタイトなときには便利な方法ではある。

しかし、あと100字消化しなくてはいけないために、デザインが崩れるのをわたしは好かない。

なら、「きつい・足りないは言ってください」とデザイナーに伝えておき、

編集側が完全フォローすべきだ。

デザイナーに完全にいい仕事をもらうことを第一に考えたい。

デザイン入れは、雑誌づくりのひとつの山でもある。

こちらが用意した写真素材、取材期間でキャッチした情報など、いわゆる編集的「財産」すべてを

デザイナーのところに持参する。

ところが、その財産は、誰が見ても美しいダイヤモンドではない。

編集者の説明付きでようやく輝きはじめるたぐいの希少価値なのだと自負しておこう。

○ デザイン入れ時に用意するもの

サムネール、写真素材、タイトル・見出しなどのテキスト、データテキスト など文章位置(タイトル・リード・小見出し・本文など)と量、

写真位置と大きさ、必要な物件数やキャプション、データなどを記載したものが、デザイン入稿用のサムネール。

サムネールは、雑誌をつくる際、デザイナーに渡す際の設計図的なもの。

サムネールは、デザイナーに宛てたページ設計図であると同時に、デザイナーへのラブレターであると心得て。

ここには、ページに盛り込んでほしい内容がすべて記載してあることが基本。

どの写真をどのくらい大きくしたいかなどのイメージを、この設計図でデザイナーに伝えきるように考えよう。

忘れがちなのが、見出しなどのテキスト。

優秀なエディトリアルデザイナーは、そのテキストを読み、意味を考えながらデザインをあたるので

「タイトル25文字」とだけ書いて、内容に触れないサムネールでは意味がない。

タイトルくらいはサムネールに明記しよう。

○ サムネール作成のポイント  

 1 つくる誌面の原寸で書くのが理想。  マス目のある紙にフリーハンドで直線を書けるくらいなら、

   定規をきっちり使わなくても  許される 

 2 とにかくサムネールだけ見れば、やりたいことがわかる状態にしておく  

  (写真の合番、デザイン入稿時のテキスト合番を明記)  ポイントなどは赤字で書くほうがいい。 

 3 タイトル・見出しなどのテキストは明文化する 

 4 タイトル、リード、小見出し、本文、キャプション、データ……ページ内(企画内)の  

   等位はどれかを意識し、マーカーを使って色分けしておく。  

   デザイナーに伝わりやすいのはもちろん、編集者の頭も整理できる。 

 5 デザイナーに渡す原本と、自分用に控えをとるのを忘れずに。  

   ほかにもそこに立ち会う人がいるなら、人数分のコピーを準備する。

ところでサムネールは、ページがデザインアップしたときに、盛り込まれた内容を確認するのに用いればお役御免となる。

ちなみに、数をこなしていると、だれしもお気に入りのサムネールというのがある。

わたしの場合は、サムネールにポラを貼り付けた、グラビアのもの。

老後の楽しみ用に(?)、使用後サムネールもファイリングしている。

さて、デザイン入れで大切なのは、まず、AD(アートディレクター)なり、担当デザイナーなりを「ノセる」ことだ。

その企画のおもしろさ、楽しさを、相手(デザイナー)に伝えられるかどうかにかかっている。

デザイン入稿は、デザイナーへのプレゼンテーションだと心得よう。

編集者にとっては当たり前のことだって、デザイナーへは同じ温度で伝わらないことが多い。

解消するには、面倒がらず、言葉をつくすこと。

これを、編集者が面倒くさがって、どうする!?

○デザイン入れの際の語り方  

 1 「どうして今この企画なのか」みたいな、サイドストーリーから語ることができれば理想的。  

   まずこの状況、この企画の魅力を語る。 

 2 次に企画全体の展開をあらかた説明してから、ページネーションの解説。  

   ※いきなり各見開きの説明をしない。まず結果(全貌)を説明して、経緯(ページ内容)を語る。 

 3 さらに具体的に、各見開きの展開を説明する。  

   ここで入れる写真やネームを確認しながらの作業になるので  

   とくに写真素材はデザイナーにわかりやすいように整理を行う。

デザイン入れで渡す写真素材は、全カットをデザイナーも一緒に確認してくれる場合と、

「あとで見ておくので大丈夫」といわれる場合がある。 大切なのは、写真がきれいに整理されていること。

サムネールと写真さえ見れば、いつ・誰が見ても構造がわかるくらいにしておくこと。

○デザイン入稿時の写真整理のポイント  

 1 写真とサムネイルの合番を打つ 

 2 複数のデータから使用するデータを引き出す必要のあるものは、  

   使用写真だけを一枚のCD-Rなどに焼いてしまうのがベター 

 3 データの場合は、インデックスシートを必ずつける。  

   写真あたりを肉眼でチェックできるほうが作業はラク。 

 4 ポジの場合。トレファンは、辺が短いほうを手前にして、ポジを表向きに入れる。 

 5 借りポジや流用写真の場合、トレファンに余分な文字がないようにする。  

以前の指定文字はきれいに消してから。  

いかにも「借りてます」「流用です」といった写真は、 デザイナーのモチベーションを下げるので、注意。

以上が、ひととおりのデザイン入れの流れと、しなければならないこと。

ただ、相手がどんなタイプのデザイナーなのかを見きわめ、相手ができるだけやりやすいようにアレンジしていってほしい。

それこそが編集者の仕事ですから。

ところで、編集の作業のなかで、わたし自身がもっともうれしいのは、デザイナーからデザインが上がってきたときだ。

初校出よりもなによりも、この「かたちのないものにかたちが与えられた瞬間」が最高にうれしい。

いい仕事をしてくれるデザイナーさんは、神の手を持っている。

どうぞあなたのゴッドハンドを、大事にしてください。


サムネイルを描くとき、これがなくちゃ始まらないのだ、私は。およそ20年愛用。
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そして、定規はもうぜったいコレ。愛用して30年。
コンサイス。通常は30センチを。下の40センチも常備しています。
側面にステンレスがついていて、カッターを使うときに重宝します。

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そして出張校正のときはこれ!
50センチあるので、タブロイド判のトンボもストレスなく引けちゃいます。
こちらはステッドラーで、ステンレスはついていません。
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