雑誌編集者を目指して、上京。
トラの穴で編集プロダクション生活をスタートさせたばかりの「のんちゃん」(23歳女子)に贈る
編プロ・トラの穴的 おこごと、仕事のコツ、ラクの仕方と、社会人的たしなみと。
順不同でまいります。
つまみ読み、どうぞ。
編集者は「待つのが仕事」とよく言います。
クリエーターがアップするのを待つことが多いからです。
10日(月)の夕方にデザインアップということになると
その上がりを待って、ライターに回したり、DTPの段取りをしたり、
デスクのスケジュールを調整したり、やらなければいけないことがいろいろあります。
ルーチンワークを待つのとは別に
初校時に大幅な訂正が入り、DTPだけでは対処しきれなくなって
もう一度デザイナーに戻してリデザイン、上がりを待つ、みたいなこともあります。
定期刊行物で進行がずらせないものは、
そのリデザインが入ると大幅に時間を食うことになりますから、
とにかく巻いていかなければいけません。
しかし、デザイナーにしてもリデザインは予定外の仕事です。
あちらにはあちらの仕事がいっぱいいっぱいなわけで(人気者のデザイナーならそうなります)
そこにねじ込んでもらうわけです。ちょっとしたせめぎあいだと思います。
急いではほしいけど、決して急がせちゃだめ。
だって、急いてはことをし損じると昔からよく言います。
修正が大きければ大きいほど、ぎりぎりまで粘って、いいものをひねり出していただかなくてはいけません(←デザイナーに)。
あえて、こちらは悠々と構えてみたりするわけです(内心、十分焦っていたとしても)。
先日、腕利きのエディトリアルデザイナーと飲んでいたら、スケジュールの話になりました。
「ああいうとき、焦らないの?」と聞いたら、彼が言った言葉。
「待たせておけばいいんです。それで焦っちゃだめだ。こっちはいいものをつくるのが仕事。それを忘れちゃいけない」
しびれました。かっこよろしいわぁ。
もちろん彼は、必ず締め切りは守る人ですが、言ったギリギリまで粘るタイプです。
たとえば大きな直しが入って、翌日出しが締め切りになった場合、
もしも前の晩リデザインができあがったとしても、かならず翌日出してきます。
ひと晩寝かせて、翌朝もう一回見てくれている。そのひと手間をかける人。
そんな安心感があります(自分もそういう者でありたいです)。
もう20年近く前、大阪の天五にあるこの道50年のたこ焼き屋さん
「うまい屋」の大将が似たようなことをおっしゃっていました。
「たくさん行列ができて、お客さんがぎょうさん待ってはるやろ。
そんなときこそゆったり構えて、きちんと仕事して、ええもんつくらなあかん。
お客を待たせてるからって焦ったら一巻の終わりやで」
あの言葉を忘れません。
「悠々と急ぐ」っていいよなぁ。
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