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雑誌編集者を目指して、上京。
トラの穴で編集プロダクション生活をスタートさせたばかりの「のんちゃん」(23歳女子)に贈る
編プロ・トラの穴的 おこごと、仕事のコツ、ラクの仕方と、社会人的たしなみと。

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ぺーぺーでも、窮鼠猫を噛む

2015年1月 9日 (金)

沸点は高いほうなので、仕事で人に噛みつくことはほぼありません。

30年間に4回くらいじゃないでしょうか。

1回目は前述したクレジット問題です。

このときは相手は社内の上の人だし、ハンガーストライキでもやったろか、くらいのつもりでした。

 

2回目は表紙の写真問題でした。

1993年、関西で初めての結婚情報誌を立ち上げていたときのこと。

表紙は東京の、エディトリアルでは有名なデザイナーさんが

アートディレクション(AD)を担当してくださることになりました。

 

はじめは、当時はご存命だった笠智衆さんと素敵なおばあさんを表紙に起用

……と聞いていて萌えましたが

残念ながら諸般の事情でご破算になり

著名な写真家の方が撮影されたドラマチックな花の写真でいくことになりました。

 

それが撮り下ろしではなかったようで

ある日、白のユリの写真(背景は緑がかった白)と、ピンクの花の写真、

2枚の写真が送られて来ました。

 

「写真は2つありますが、白でいきます」と、ADの右腕として現場を担当するデザイナー氏。

言われて絶句しました。

白のユリは確かに結婚式で使いますが、写真の背景の色が緑がかっていて、ピュアではない。

言葉を選ばずに申し上げると、辛気くさくて葬式ぽく感じたのです(ごめんなさい!)。

結婚式の本やのに、これやったら葬式やろ!!」と思ったので、

静かに噛みつきました(私は基本、行儀がいいのです……)。

 

私「結婚式の本ですから、華やかなほうがいいです。ここはピンクで」


D
「いや、ADは白がいいと言うので、やっぱり白」とデザイナー氏。


私「納得がいきません。ユリで、白で、この背景では葬儀に見えるでしょ? 

  あなたもピンクのほうがいいと思っておられるはずです。

  ADに、現場がピンクにしたいとごねていると、交渉してください」


D
「いえ、ADが白なら、私も白です。しかも彼は休暇で、今ハワイにいます……


私「この写真で、書店に平積みされたことを考えてくださいね。ね、葬儀でしょ?

……ハワイに、電話してください

  本の命運かかっているんです。お願いします

 

 

ここまでたいへん苦労して編集してきて(情報だって半端ないわけで)

表紙の写真一発で、オセロが全部白から黒になっちゃうみたいなのがたまらなかったので

静かに、しかし強く主張させていただきました。

 

この現場のデザイナーさんがまたいい人で、

彼からしたら絶対服従である師匠に(ハワイに電話をかけて)、
物申してくださいました。

……うっとうしかったやろなぁ。

おかげで、望み通りのピンクの花の写真が創刊号を飾ることになりました。


どちらにしても、巨匠ADさんはすごいデザインする人なんですから、

写真は実はどっちでもよかったのかもしれませんね。

 

今にして思えば、ぺーぺーの二十代の女の子(しかも版元でもなく、編プロです)が噛みついてくるのに

よくぞご対応いただけたものだと深く感謝いたします。

 

でも、ぺーぺーだろうとなんだろうと、

本当に愛情があるものがあるならば
しっかり守ってください。

ほかのだれでもない、今のあなたにしか、守れないこともある

肩書きではなく、つくるものに対する愛情の強さが問題なのですから。

でも、のべつ幕なしに噛みついてもいけない(それでは単なる短気!)。

 

 

けれど、ここぞというときには、窮鼠猫を噛むのであります。

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1993年 けっこんぴあ関西版創刊号

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