雑誌編集者を目指して、上京。
トラの穴で編集プロダクション生活をスタートさせたばかりの「のんちゃん」(23歳女子)に贈る
編プロ・トラの穴的 おこごと、仕事のコツ、ラクの仕方と、社会人的たしなみと。
順不同でまいります。
つまみ読み、どうぞ。
編集業務での「進行」は、本ができるまでのスケジューリングのことを指します。
雑誌の版元の編集部には専門の進行役がいることが多く
編集者それぞれが担当した各企画の進捗状況をすべて把握し
印刷所やDTPといった制作部門と調整しつつ、仕事を進めていきます。
スケジュール通りに出版できるように管理するのが、進行の仕事。
印刷所との約束の入稿日に遅れないように目を光らせます。
進行は、制作部門からの各企画への問合せの窓口としても機能します。
編プロ出身の私は、版元へ出向したときに
「えー、進行専門の人がいるの!? すごーい!!(=うらやましい)」
と思ったものです。
編プロの場合(少なくとも私の出身の編プロ、それに弊社もそうですが)
進行専門にスタッフを確保する金銭的な余裕はありません。
どうするか。
自分でするんですっ。
私が初めて200ページのムックを担当したとき(かれこれ25年ほど前か)、
編プロに入ってすぐで、編集の仕方もなにもわからない状態でした。
先輩編集者もみんな一斉に辞めてしまう時期で、教えてくれる人がいません。
同じ歳の相棒がひとりいるだけで、あとは荒野です。情報は800件ありました。
目の前には、印刷所の担当者が作ってくれた
素人目にはまったくわからない、暗号チックな「進行表」だけがあります。
「……???」
それでもやらなければいけません。
まったく段取りわからないし、どうしようかなぁ……と考えて、出した結論。
「印刷所の担当者さんから言われた通りにやろう♡」でした。
とにかく、その都度聞いて、
「ここまでになにをしろ」と言われたことは的確に仕上げていくことだけを徹底しました。
ちょっとでもわからなければ、すぐにその担当者に尋ねることにしました。
印刷所の担当者に味方になってもらえば、叱られたり、たまにケンカごしになったりしながらでも、本はできます。
当時、担当は同じ歳の男性A氏で、職歴はこちらよりもある方でした。
こちらも徹夜の繰り返しでしたが、そんなこちらの手落ちを救ってくれて、印刷所で作業してくれて(あれは写真指定だったかぁな)
夜明けに「終わりました。不備はありません」と電話かけてきてくれたことをよく覚えています。
こちらが完徹で色校戻しを仕上げている朝には、ピックアップのかたわら、
朝ご飯を差し入れてくれたものです。
編集者の間では「それでも本はできる」なんてよく言います。
びっくりするようなトラブルに見舞われても、だれかが倒れたり、だめになったとしても
私たちはいつもそれをなんとか乗りこえて、予定通りに本が出るのです。
たとえこちらが進行的にすっとぼけたことをしでかしても
たしかな味方さえいてくれたら
大事にならないうちに、お尻を叩いてくれるし、カツを入れられます。
今なら、印刷所のほかに、DTPオペレーターもぜひ味方になってもらってください。
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