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雑誌編集者を目指して、上京。
トラの穴で編集プロダクション生活をスタートさせたばかりの「のんちゃん」(23歳女子)に贈る
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東日本大震災前夜の出版業界状況  

2011年3月28日 (月)

【リーマンショックがもたらした出版不況と業界再編成】

この機会に東日本大震災前夜の出版業界の模様を、ざっとまとめておこうと思います。
死者・行方不明者2万人を超す前代未聞の災害の直前、
出版業界はいまだかつてない過渡期のさなかにありました。


◆リーマンショックの打撃
それまでのじわじわとした市民の紙離れに加え、2008年リーマンショックは出版業界も直撃。
各企業各社の経営状態が締め付けられるなか、広告出稿数が激減します(雑誌やムックは、部数の売り上げのほか、広告売り上げが中心になっているものがほとんど)。
個人の買い控えも目立ち、部数もどんどん冷え込みます。
広告減と部数減に伴って休刊に追い込まれた雑誌が急増。
2010年の年度末まで、なんと約130の雑誌が休刊しました(わたしのレギュラーも3誌休刊(>_<))。
休刊のみならず、出版社の倒産、編集プロダクションの廃業なども相次ぎました。
このあたりから、従来10%が確約されていた書籍の著者印税(出版社からもたらされます)にも徐々に変化が。
印税が10%を割る事態が起き、最近では残念ながら5~7%のことも少なくありません。
版元の出版社の台所も、火の車ということが少なくないのだと思います。


FuJisan.co.jp 休刊誌一覧
http://www.fujisan.co.jp/Partner/PartnerSuspensionInfo.asp


◆印刷メーカーと書店が動いた
2009年には、大手印刷メーカーと書店が業務提携や経営統合を行い、版元も巻き込む動きが現れました。
凸版印刷と紀伊国屋書店は業務提携、大日本印刷は丸善、ジュンク堂との経営統合を果たします。
印刷と書店が手を組む発想が非常にユニークです。
大手印刷メーカーがもつ印刷テクノロジーと、書店の持つソフト力の力を合体させようというわけです。
これらの動きはこれからも目が離せません。


ITメディアニュース 2009年6月2日 
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/02/news010.html
カレントアウェアネス・ポータル2009年9月29日
http://current.ndl.go.jp/node/14741

紙のメディアの少し先をいく状況が、CDなどの音楽メディアです。
ダウンロードシステムにとって代わられ、CDの販売は激減。
ニューヨークの大手CDショップの閉店も話題になりました。

果たして書店の未来に近いのか!? と危ぶまれるなか
日本の大手書店がこうした動きに出ることはうれしいことでした。
まだ楽観することはできませんが、こうした動きがかならず未来への突破口をつくります。
しかし、町の小さな書店を思うと、出口が見えずせつないです。



◆電子書籍の動き
それまでは携帯小説(携帯電話のチャンネルでユーザーが小説をダウンロード購入する)が中心だった電子書籍市場でしたが、
アップル社のiPhoneとiPadの登場とともに地図が塗り変わりはじめます。
本腰を入れた専門の会社が続々登場し、2010年には電子書籍の台頭が始まりました。


電子書籍の市場規模は、紙の市場に比べてまだ十分の一だといわれますが、
その将来性を見込して、キャリアと出版系企業の共同事業経営が展開しています。
「KDDIと凸版印刷、ソニー、朝日新聞社」連合と「DoCoMoと大日本印刷」「アマゾンとキンドル」「ソフトバンクとアップル社」みたいな感じです


日本経済新聞2010年8月3日
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819696E2E0E296E78DE2E1E2EAE0E2E3E29F9FE2E2E2E2


また、衝撃が走ったのは、作家の村上龍氏が立ち上げた電子書籍制作・販売会社。
著者印税40%って……。クリエイターにとってなんと魅力なことか。
そうしたことがかなうのがペーパーレス(そのほかあらゆるところでお金をかけずにすむ)……電子書籍の魅力でもあるのです。


ITメディアニュース 2010年11月2日
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1011/02/news081.html


こうなってくると「紙」の出版はどんどん立つ瀬がなくなるのですが、
好きなものは紙で残したいという人もいます。とくに中高年は、PCより紙のほうが馴染みがあって好まれます。
けれどその「紙」の支持が、
音楽マニアがCDやレコードを大切にするのと同じだったり、ボックスを購入する動きと同じになるのではちょっと困ると思います。
コアなファンではなく、雑誌や書籍は、あくまで多くの人たちの手に取られてなんぼのツールだからです。


インターネットと電子書籍の脅威におびえつつ、それでもなんとか紙の出版のアイデンティティと庶民の支持を確保しようと暗中模索するなかで、
2011年3月11日(金)、今回の東日本大震災が発生。
出版界にも大きな揺さぶりをかけました。

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