雑誌編集者を目指して、上京。
トラの穴で編集プロダクション生活をスタートさせたばかりの「のんちゃん」(23歳女子)に贈る
編プロ・トラの穴的 おこごと、仕事のコツ、ラクの仕方と、社会人的たしなみと。
順不同でまいります。
つまみ読み、どうぞ。
最近、のんちゃんには後輩ができました。
後輩みかちゃん曰く、「ブログで拝見していて、どんなに頼りない人なのかと思ったら……驚きました」。
そう。のんちゃんは日々成長。
その成長ぶりたるや、伸びる音がきこえるかと思われるほどです。
後輩指導も、かなりしっかり、細かいです。小姑感、なかなかいいです。頼りになります。
仕事、ちゃんと覚えている証拠ですね(*^_^*)
・
さて、今回は基本の「き」の字、校正のレクチャーとまいりましょう。
もうわかってるもん、という人、ほんとかな?
今一度、初心に立ち返り、確認しておきましょう。
・
○用意するもの
校正紙、原稿、赤ペン、青ペン、鉛筆、定規、マーカー
統一表記表、国語辞典(弊社は岩波)、記者ハンドブック(共同通信)
・
校正には2種類あります。
「突き合わせ校正(引き合わせ校正)」と「素読み校正」。
・
【突き合わせ校正】は、
もとになる原稿(再校の場合なら、初校戻しの校正紙)と出校してきた校正紙を1文字ずつ付き合わせて、
①朱書きが反映されているかどうか
②朱書きを入れていないのに、勝手に変わっていないか
を確かめます。
朱書きが反映されていたら、そこにマーカーでチェック。
引き出し線の引き出された場所と、修正文字、両方にチェックを入れるのが確実です。
・
突き合わせのポイントは、「文章を読まないこと」。
原稿の文字と校正紙の文字を見比べて、
指示通り修正されているかどうか、勝手に変わっていないか、あった文字が抜けて(消えて)いないか、
マシンと化して、穴のあくほど眺めること。
とてもマクロな校正が、突き合わせ校正です。
校正は、これだけではもちろん不十分。
・
【素読み校正】は
文章を読みながら、誤字・脱字・文章の狂いや揺れ、統一表記の不統一のほか
デザインの狂いを見つけて、修正するもの。
突き合わせのあとに行うのが通常です。両方できて、ようやく校正完了です。
①まず普通に、頭から終わりまで、通して読む。
②データ部分、小見出し部分だけをまとめ読みする
③写真だけ、色だけを見る。全体のズレを見つける
④コーナーを通して見る(統一色、書体の間違いを見つける)
以上の4工程がだいたいの基本。
②③④の工程で、かなり精度の高い校正ができるようになります。
とくに情報誌は、情報記載の統一が命。②の作業は欠かせません。
・
発見した誤植はどんどん入朱しますが、
疑問が生じたとき、ページ担当者に相談すべき問題は、付箋にその旨記入し、添付します。
・
・
【色校正の写真校正について】は、
写真(イラスト)の色味の再現をチェックする工程が増えます。
①必ず、原稿(この場合は写真)と突き合わせるようにして、色を確認
②写真を読む。フォーク・ナイフの左右は合っているか など
②版ズレしていないかどうか確認
③誌面のゴミ・汚れ・キズをチェックし、朱書き
・
写真を即物的に見る技術が必要で、原稿に難がある場合は、修正をかけることになります
(このへん、最近ラクなところです。写真の修正が、こんなに手軽にできちゃう♪)
○モデル写真なら、白目のにごり、シワ・シミ、メイクのニュアンス、肌色の加減など
○ホテルの空間コーディネートもの写真なら、クロスのシワ など
○料理なら、おいしそうに見えているか、シズル感はあるか
印刷所はとても優秀なので、
朱書きひとつで魔法のようにきれいに仕上げてくれます。ありがたいですね。
いつも助けていただいているので、足を向けて寝られません。
・
・
さて 【現実的にもう一歩。たとえば某情報誌の初校の場合】は
○FAX.で回収した、先方確認の戻りを入れる
★なお、先方確認の入朱は、必ず2人以上の目を通すこと。
イタ電(電話番号表記は、ゲラで見たらその場でダイヤルする、くらいに
取り組みましょう)、URLチェック(これも実際、入力してたどり着くかどうか)、
情報ページとの店名統一および掲載ノンブル確認……以上はすべて、マーカーで印入れ
↓
○素読みで回し読む
★数字表やグラフがあったときは、必ず電卓を入れて検算
○外注校正者の朱書きを反映する
○デザイン校(デザイナーの校正)を反映する
○編集長チェックを反映する
※以上の工程は、必ずその都度、各ページにサインを入れる
↓
○編集長チェックを添付の上、最終で最終責任者(内山ね)に提出。
チェック後戻されたら、内山からの付箋(疑問出し)解消後
さらに内山へ……などの手順です。
このとき、付箋ははずさないこと!(わからなくなるからね)
↓
○最終、印刷所宛の表書きに、申し送りなどを明記
・
・
【校正記号 入朱時の注意】
もっとも大切なことは、印刷所のオペレーターがわかりやすいように
誤読を招かないように朱書きを入れること。
人に伝えるためのものだということを忘れないように。
修正するのは人の手です。そのオペレーターの気分がよくなる赤字を入れること。
※横暴な書き方は避ける
※校正記号は『校正ハンドブック』『編集者必携』などを見て。
・
○かならずトンボを入れる
○朱書きはていねいに書く。
○引き出し線は字間を縫って、極力文字をつぶさずに引き出す。
○右詰、下詰め、“ここまで1行に”は指示入れをする。ただし、朱書き以外の補足文字にあたるので、青または鉛筆で記入する。赤字は朱書きのみ。
○トルツメ トルママなどの指事文字は、修正文字よりも気持ち小さく書く
○ほかの校正(デザイン校など)転記の際、わからない言葉は、意味を調べて納得した上で記入する。
・
・
・
余談
わたし自身は、高校時代に、校正の通信教育を受けました。
なぜ受講したのか、いまだに不明。将来絶対使いそうと思っただけ。
級数計算ができなくて、卒業するのに難儀しましたが
今振り返ると、なかなか勉強になりました。
だからたしか「4級」もってる……英検の4級並みに役に立ちません。
・
いちばん役だったのは、先輩の入朱した校正紙です。
編集の仕事を始めたての頃、とても素敵な朱書きを入れる先輩が、処分しようとしていた校正紙をもらって、
マネして朱書きを入れていました(5年間くらい、宝物にしてました)。
・
「ああ、きれいだな」と思う朱書きの仕方ってあるもんです。
それを目指すのがいちばんの上達術かと思います。
あとは経験。
そのうち、ワンセンテンス眺めたときに、「絶対おかしい」とわかるようになってきますからね。
「記者ハンドブック」。勉強のつもりではじめにあると安心。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
"校正マニュアル"へのコメントはまだありません。