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雑誌編集者を目指して、上京。
トラの穴で編集プロダクション生活をスタートさせたばかりの「のんちゃん」(23歳女子)に贈る
編プロ・トラの穴的 おこごと、仕事のコツ、ラクの仕方と、社会人的たしなみと。

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2008年5月11日 (日)

先日、Wちゃんが仕上がった写真を持って、ややホクホク顔でわたしのもとにやってきました。
この撮影は、撮影前にデザイナーさんも一緒に打合せしていて、かなり楽しみだったもの。
ワインをグラスについだ写真だけど、「高級感ではなく、カジュアルでとっつきやすい感じを出したい」というのが、Wちゃんのこだわり。
むしろ高級感を出すのなら話は早いのかもしれず、かませるもの(一緒に撮影するもの)……たとえば、グラスとかテーブルクロスに高級品を使えばムードは醸し出せるわけで、
リーデルのグラスと、ウェッジウッドあたりの白テーブルクロス、それに1本1000円くらいのバラの花をあしらえば、もうベタに完璧。
あとは5灯くらいでの巧みなライティング(照明)で、光り輝くような透明感を出せば、ね。

ところがWちゃんがしたかったのはそうではなく、カジュアル感のある肩ひじ張らないワインのビジュアルづくり。
高級路線ではないところを狙いたいといいます。おもしろい。でも、ムズカシー。
デザイナー氏も一緒に話をして、ようやくまとまりました。
「じゃあ、ユルく撮ろう。ユルカワで、『クウネル』の線でね!」と、見本の写真を見ながら盛り上がっていました。
「Wちゃん、バックは生成りがいい。布の目は粗くていいよ~。麻か綿かな」とわたし。
デザイナーさんとも、ああ、これならきっとかわいいと納得。
ハイタッチせんばかりに盛り上がっていました。
トラットリアとかブラッセリーのお手軽ワインのムードで撮影、というわけです。
成功すると、かなりかわいいはずです。


で、その仕上がり。持ってきたときのWちゃんの顔から拝察するに、
きっと撮影は成功のはずだったんでしょう。
しかし、その写真を見ると……わたしの想定外のものがそこに。
「誰がこんな撮影しろっていったっけ?」と、声も低く、怒りで震えます……。
そこにはすごくきれいに撮影した、普通のワインの写真がありました。
「オーダーしたんとまったくちゃうやんか!!」
美しい写真です。充分にきれい。広告写真としていけそうなほど。
でも、オーダーはこうじゃなかった。ユルくてかわいい、ナチュラルタッチの写真です。
飾らない空気感が絶対に必要でした。
ピンは浅めで、ふんわり、ざっくり、飾らない暮らしの強さ・美しさ。
それが編集的な意図でしたから。普通に美しいワインの写真ではだめだったのです。
それがもともとWちゃんの意図でもあったはずなのだけど???
いつから変わったんだよっ。

こんなとき、普段だったら速攻で「再撮!」ですが、写真があまりに見事にきれいだったので、
デザイナーさんにお詫びし倒して、方向転換することに……。
最終的にはすごくきれいなページになりました。撮影のアクシデントなんて、きっとだれも気づかない。
それでいいんですよ。編集者は丸く収めるのが仕事ですから。
しかし、これはあきらかに敗北です。

では、今回のWちゃんの敗因をまとめてみると。
 1 「クウネル」っぽい写真と言われて、そのタッチがわかっていなかったこと
 2 その場で見本の写真を見ているにもかかわらず、その写真を解析できなかったこと
写真を読む力に欠けていたといわざるを得ません。残念だね。


編集者たるもの、特徴のある雑誌の写真のタッチくらいは、把握しておきたいものです。
「クウネル」ぽい写真、「ダンチュー」ぽい写真、「ミーツ」ね……とか、
認識しておきましょう。
さらにそれはデザイナーやカメラマンとの共通言語にもなります。
散漫に本を見ないこと。雑誌は商売道具ですよ、意識してください。

「2」についても同じこと。
まず、電車や駅貼りのポスターを見たら、撮影の仕方をかならずシミュレーションして下さい。写真の分析も。

たとえば
角版か、切り抜きか。
自然光か、スタジオ撮影か。
スタジオなら、照明は何灯使ったと思う?(影をチェックすればわかってきます)
商品はどこに置いて、カメラ位置はどこから?(レンズまで察しがつけばすごい!)
ピントはどんなふうに合わせてあるか。
全体にまんべんなく合わせてあるか、ゆるめに絞っているか。

最近のモデル写真なんかは、目だけピントで、鼻はすでにぼけているものなども多いです。
ゆるピンはちょっとしたブームでもあります。
料理もワンピン(1か所にピント、あとはぼかす)全盛期。
印象やムードを伝えるなら、ピンのゆるい写真。
逆に、バッチバチにピントがきた写真は、硬質でクールなイメージ。追随をゆるさない力強さがあります。
商品写真の場合なら、被写体そのものの力を使えることができます。

年齢でいえば、若い人の好みはピンのゆるいやさしい写真
年齢の高い人は、しっかりピンのきた安定感のある写真のほうが好まれる傾向にあります。

店内や、バンケットのコーディネートなどの空間を撮影した写真を並べても、
画角が新しい写真、古い写真があることがわかりますか?
わからないという人、5枚くらい空間の写真を並べて、
写真を読んでみましょう。
編集者は、写真を読むことが大事です。文章といっしょです。
数を見ることでわかったくると思います。
あと、丁寧に見ることです。
裸眼で見てわかった気にならず、ルーペでちゃんとチェックすること。
中心だけ見ていてもだめ。隅々まですべて見ること。
データなら、PCで画面確認をすること。

雑誌を意識的に読む話はしましたが
写真の勉強するのなら『コマーシャルフォト』あたりが役立つと思います。
そして、現代の流行の写真や自分の好みを、わかるようになってほしいと思います。

それでも写真の読み方がわからないというあなた。
直接お問い合わせ下さい。レクチャーしましょう。

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