雑誌編集者を目指して、上京。
トラの穴で編集プロダクション生活をスタートさせたばかりの「のんちゃん」(23歳女子)に贈る
編プロ・トラの穴的 おこごと、仕事のコツ、ラクの仕方と、社会人的たしなみと。
順不同でまいります。
つまみ読み、どうぞ。
「……ブリュレ!」と想像したあなた、間違いです。クレーム違い。
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今回は、対外的なヘマをしたときのフォローについてお話しましょう。
取材の対応が気に入らない、スタッフの態度・対応が悪い、誤植……etc.
想像するのもいやなことですが、
人間だもの、思わぬミスはかならず起きてしまいます。
ただ、そのあとの対応次第で、許される場合・許されない場合の明暗がわかれます。
対外的なヘマは、むしろあなた個人の問題ではありません。
会社の責任になり、媒体への非難となることを覚えておきましょう。
たいていの場合、よくないことは電話でやってきます(最近ではメールのこともあるかもしれません)。
もしも、あなたが不幸にも、直接の担当者不在のときにその電話をとってしまったら
まずは謝ること。
たとえ自分のやった過ちではなくても、
その電話をとったあなたは、先方からすると確かに関係者なのです。
「自分の担当じゃないからわかりません」はもってのほか。怒りを増幅させますから。
関係者のひとりであるという認識をしっかり持ってください。
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クレーム・対外的ヘマの場合の今後の道筋は
1怒りを受ける
2謝罪
3場合によっては理由を話す
4今後の対応策および改善策を提案する
5いったん収束させる
6以前の関係よりも深い関係を再構築する
となります。
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こうしたときのあなたの誠実な対応こそが、この緊急事態を収束させるし、
打開できるのだということを忘れないこと。
先方にとっての誠実な対応とはなにか、常に念頭に置きます。
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ことが重大な場合、またはあなたの対応が悪かった場合は、「2」「3」あたりで
「上司・責任者を出せ」になります。
ここまでいったら、もうあなたの手には負えませんから、すみやかにバトンタッチします。
ベストは、
「申し訳ございませんが、ただいま外出しておりますので、いったんお電話を切らせていただいて、連絡をとり、00分後にご連絡差し上げるようにします」でしょうか。
ここも臨機応変ですが、こうしたほうが、電話を切ったあとにじっくり善後策を練ることができます。
あなたから上司・責任者へ、ことの敬意を説明してからのほうが、上司はよりよい傾向と対策をたてることができるのです。
ただし、ベストは、あなた自身が収束させること、と、覚えておきましょう。
上司は、あなたの不備を詫びるのも仕事ですから、ここは気にしなくても構いません。
先方へのコールバックは、時間をあけすぎないこと。
思いのほか、外にいる上司につながらないときは、「もうしばらくお待ちいただけますか」と、先方への電話も必要です。
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1怒りを受ける
先方が怒っていらっしゃるときには、しっかりその怒りを受け止めること。
これがクレーム対応の第一です。
電話であることが多いと思います。人は面と向かって相手に怒るのは難しいのです。
電話では比較的たやすくなります。
このとき、相手の怒りをよく聴くこと。話は決して遮らない。申し開きと言い訳をしない。これは鉄則。
まず相手の怒りの感情を思いきり吐き出させるのが大事です。
ここでは「怒られまくる」のが正解。
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※ ここで大切なのは、怒りの理由を正確に把握することでもあります。
実務的な損害か、心証不良による不快か、その両方か。そしてその程度は。
電話で謝ってすむ問題か、すぐに出向くべきか。
謝ってすむ問題か、補償問題に発展するか。
もちろん目指すのは、謝ることですませていただくことです。
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2謝罪
相手の怒りが正しいとき、つまりこちらに不備があるときは、きちんとお詫びをします。
「すみませんでした」はお詫びになりません。
謝罪は「ごめんなさい」か「申し訳ございません」が基本。
「ご迷惑をおかけしてたいへん申し訳ございません」
「こちらの配慮が欠けており、申し訳ございませんでした」など
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3場合によっては理由を話す
ここはほんとうに難しいところですから臨機応変に
ミスした理由があまりにもお粗末なことなら、先方へ話さないほうがましなことは多いもの。
また業務上の理由で、お話してはならない場合もあるでしょう。
また、こちらの都合をそのまま話したところで、先方の怒りを増幅させてしまう場合もあります
(この場合は「1」に戻る。1→2→4…… への展開を目指します)。
ただ、先方は「なぜ?」が聞きたい場合も多いのです。
聞きたいのですが、その理由が「それはそっちの都合だろ!」的なことだったりすると、
火に油を注ぐことに。
言葉を選んでお話しすることです。
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【飛び道具:先方へ伺う】
自分のことを振り返ると、「1」「2」でややこしくなった相手先のもとには
速攻で伺うようにしています。
これがもっとも収束させるのに早い方法だからです。
すなわち、お怒りを受けに出向く。で、自分で収束させる(ただし、このとき、責任者への報告を忘れずに)。
時間の経過は短ければ短いほどいい。
とくに我々編プロの立場でなにかしでかしたとき、版元へ迷惑をかけるのだけはさけなければなりません。
もちろん、報告はするのですが、ことを収束させてからでないと、かっこわるいでしょ。
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版元に飛び火。これは最悪のシナリオです。
残念なことに、対応のまずさひとつで、簡単に火は広がります。
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さて、先方へお伺いすることで、こちらの誠意を示すことができます。
また、面と向かって怒るのは、人間、非常に難しいということもあります。
つまり、許していただきやすい。
ですから、怒りが強ければ強いほど、出向いていくのがじつは正解。
起きているトラブル、そして相手から逃げないことです。
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○できればすぐに伺う → スピードで気持ちを示す
かならず、3000円程度のお詫びの品をお持ちする
(渡すときは、紙袋から出して、品を渡すこと。紙袋のまま渡すなよ!)。
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○先方の都合もあり、翌日に伺う場合は、
服装を整える。準喪服! くらいの気持ちで、地味な服装がベスト。
お詫びの品持参も忘れずに。
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4 今後の対応策および改善策を提案する
先方へ伺う場合もそうですが、再発防止策を必ずお伝えします。
なにかミスをしたときには、かならずこれを考えるくせをつけましょう。
たとえ対外的なものでなくても。
ここから進歩が始まります。
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ややこしいときは、ここで補償問題に発展することも。
もはやあなただけの手には負えない段階です。周囲に判断とフォローをゆだねます。
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5いったん収束
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6以前の関係よりも深い関係を再構築する
じつはこれがいちばん大事。お詫びの最終目標はここにあります。
トラブルのあった相手とは、以前にも増して、仲よくなるチャンスです。
まず非礼はきっちりお詫びする。
だれでも過ちがあるのは、先方もわかっています。
そこでの謝り方ひとつで、「やっぱりあそこってサイテー」にもなるし
「誠実な対応だから大目に見るか」にもなる。
すべてはこちらの出方次第です。
相手に通用するお詫びができたら、信頼関係をつくる大きなチャンス。
台風が去ったあとも、相手から逃げずこわがらず、むしろお近づきになりましょう。
それでこそ、ピンチをものにしたことになるのです。
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【メールでのクレーム】
決して返信でお詫びをしないこと。まず電話をかけてお詫びをするのが基本です。
ややこしそうなら、お目にかかる。
お詫びをメールの文面にして残さない。
あなたが誠実に書いたつもりの言葉が、逆に相手を逆撫でし続けることもあります。
さらに、そのメールは、簡単にどこかへ転送されることもあるのだということを忘れずに。
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なにか不備があって、こちらに怒りを表してもらえるのは、ずいぶんマシなのです。
それは、こちらに対する信頼が残っている証しですから。
怒りの感情をあらわにするのは、とてもエネルギーのいることです。
怒る労力をかけることを惜しみ、なにも言わずに、つきあいの一切を断ち切られる場合だってあるのです。
だからこそ、目の前の人が怒っていることに対して、謝る一方で、
敬意を忘れないでほしいと思います。
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