桜の精の濡れ衣

2013年3月19日 (火)

母は少しカンの強い人で、私が幼いときから
やれ「あのとき火の玉が…」「虫の知らせが…」なんて話を普通にする人だ。

その母が、昨日書いた桜の木の家に住んでいるとき、ずっと具合が悪かった。
三年間で二回手術をした。
もとより更年期だったこともあると思う。
あるときニコニコして手招きするので「なあに?」ときいたら、
「マリは弟か妹、欲しくなあい?」と訊かれた。……おかあさん、残念!

その家に暮らしている間、じつは母の具合がずっと悪かったのだが、
次の家の舞鶴(京都府)に引っ越したらケロッと治った。

「おかあさん、すっかり元気になってよかったね」と言ったら、
「実はね、マリが恐がるから話せなかったことがある」と、母。

「あの家はなんだか少し、変だったよ。
とくにマリの部屋。
お母さんはあそこに昼寝で五分横たわっただけでも、金縛りにあってたの。
百発百中だよ。恐ろしかった」
…どうりであまり来なかったよな。私が部屋を変えたら来たくせに。

少し背筋が寒くなった。
ちなみに、私はそこで毎晩寝ていたにも関わらず、金縛りなんてあったためしがない。
家になにかあるときは、長い時間家にいる主婦に障りがいくというけれど…。
「大きな木が覆い被さっているのは家相もよくないと言うし、木の精が怒ってたのかな」なんてことも言っていた。

もちろん断じてそれはない。濡れ衣もいいところ。
木が家を重いと感じていたなら、もっと木に近い部屋で何かが起ころうもんだし。
桜はいつだって私に親切だったし。
もっと別の理由があったはずだ(練兵場の跡地らしかったし)。
確かに多少陰気な感じのする家ではあった。

まあ、以来おかげさまで母はとても元気で、
八十才にして西に東に「人様のお役に立てるなら」と言いながら駆け回っている。

私はいまだに金縛りにあったためしがない。
おそらく、これからもね。
「もう! びっくりさせないで!!」と、怒鳴ることはある。

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