それが事実であるがゆえに、ニュースは最高におもしろい。
そこからドラマを読み取るのは、あなたなのかもしれません。
女性7人殺害事件、韓国に衝撃 死刑執行復活論も浮上
【ソウル】ソウル近郊で38歳の男が女性7人を殺害したとして逮捕された事件に、韓国社会が衝撃…/2009年2月6日(金) asahi.com
・この記事を読みながら、ビートルズの「ウィズ・ザ・ビートルズ」のアルバムジャケットを思い出していた(左写真)。
「ハーフ・シャドウ」と親しまれているもので、
顔の片側からライトを当て、もう 半分は影のまま。
レコードのジャケットがアートとして認められるきっかけとなったジャケ写。
そういえば、今日は夜空にハーフムーン。
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犯人がしたことを箇条書きで列挙したなら、それは極悪非道の忌むべき犯罪だ。
報道は義務感に駆られて(あるいは視聴率を狙って)、卑劣な悪を暴こうとアプローチする。
けれど多くの場合、その光は片側にしか当たらない。報道の意識する側のみに光を当てる。
そうしなければ、つくる「絵」はわかりにくい。
わかりにくければ人々に届かないから。
わかりやすく仕上がった絵を見て、
見聞した視聴者が犯人への嫌悪の感情をいっそう増幅させる。
いつの間に、犯罪への糾弾を超え、犯人への嫌悪のほうがずっと強くなる。
呼応して、報道はいっそう熱を帯びていく(ハーフ・シャドウのまま)。
さらに嫌悪の伝染速度が増していく。……決してお隣の国だけの話ではない。
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最近の日本のネット炎上問題も少し似ている。
ある報道で情報を知った人が、一定の人物を「悪いヤツだ」と認識し、正義感に駆られて個人糾弾する。
安全な、匿名の、個人糾弾。
結果、ブログが炎上する。
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共通するのは、市井の人々が、
ひとつの情報の描く絵を疑わず、悪いと言われる人を、安心して糾弾すること。
悪さを信じ込むことは危険だ。
「あいつが悪い」と悪を決めること・悪を疑わないことで、たやすく戦争が始まる。
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池田小学校で児童を大量殺人した犯人・宅間は、自ら望んで、判決から過去最速で死刑になった。
信じられない残酷な犯罪に直面したときに
あってはならないこと、異分子だとはじき出すことで、私たちはどこか安心する。
死刑執行で、問題の対象が抹殺されれば、にわかに恐怖を忘れる(当事者は別として)。
けれど本当に怖いのは、その「異分子」が、実際には私たちのなかに普通に存在することだ(だって実際に事件は発生したんだから)。
「あるはずのない異分子」なのではなく、ただ、マイノリティなだけ。
つまり、その「異分子」を解析していくことこそ、本当の解決につながっていくのに
処罰と冠して殺しては、困ったマイノリティはこれから先も永久に解決されない。
現に、秋葉原の大量殺人は出現した。
ひとり現れたのなら、すでにその傾向はそのひとり以外にもかならず顕在する。我々のなかに。
それを防ぐためにはどうすればよかったのか、もっと科学的に考えなければいけないのに。
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今、目の前にある報道は、ほとんどがハーフ・シャドウだ。
わたしたちはその前提を認識しなければいけないし、
報道・マスコミ側は、感情を扇動することに重きを置いてはいけない。
他者の語る「悪」を安易に信じることは、とても危険なことのように思える。
事実を見たのは、自分自身ではないのだから。
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